国立天文台の布施哲治氏、文部科学大臣表彰 科学技術賞を受賞

【2009年4月16日 国立天文台 アストロ・トピックス(463)

国立天文台ハワイ観測所の布施哲治氏が、平成21年度の文部科学大臣表彰 科学技術賞の受賞者に選ばれた。すばる望遠鏡広報担当としてその成果を広く発信し、自身の国際的な活躍を通じて若い世代に夢を与えたことなどが評価されたものだ。


アストロ・トピックスより

ハワイ観測所の布施哲治(ふせてつはる)さんが、文部科学大臣表彰の科学技術賞・理解増進部門を受賞しました。すばる望遠鏡の研究成果を日本の社会に広く発信し、天文学の普及啓発と理解を増進させるとともに、特に若い世代に対して日本人の国際舞台での活躍という夢を与え、次世代の教育・育成において社会に寄与してきたことが評価されました。

受賞者の布施さんは、世界最大級のすばる望遠鏡を活用した太陽系内天体の観測的研究を進める気鋭の研究者です。同時に、すばる望遠鏡の科学的成果やハワイ観測所の活動を日本向けに発信する広報の担当者でもあります。観測所に着任してからの約10年間、すばる望遠鏡のウェブページや記者発表、著書、雑誌の連載記事、パンフレットなどの配布物などを通じて、すばる望遠鏡の成果を一般社会に公開することに努めてきました。

また、テレビ会議システムを活用した東京・お台場の日本科学未来館に向けた定期的な遠隔講演をはじめ、全国各地の学校施設や科学館向けの遠隔授業も布施さんの重要な活動の一つです。すばる望遠鏡という研究現場にいるスタッフが、6,000km以上離れた日本の聴衆に直に語りかけるという独自のスタイルにより、最前線の研究の面白さや、その場に立ち会う研究者・エンジニアの興奮といった雰囲気をこれまでに100回以上も伝えてきました。

受賞式を迎えた布施さんは「日本の科学・技術の発展を担う子供たちに、科学の真の醍醐味を伝えることは、最前線にいる研究者の非常に重要な役割です。これからも、生の声でみなさんに語り続けます」と話していました。

なお、国立天文台における科学技術賞・理解増進部門の受賞者は、昨年度の縣秀彦(あがたひでひこ)さん、渡部潤一(わたなべじゅんいち)さん(共に天文情報センター)に続いて、布施さんが3人目となります。


<アストロアーツ補足>

広島大学宇宙科学センター長の大杉節さんも同賞を受賞されました(研究部門)。ガンマ線天文衛星フェルミの主力検出器の開発に関する功績を認められての受賞です。(情報提供:日本宇宙少年団広島分団 高橋浩一さん)