【新製品情報】ニコン D700発売、超高感度の新境地が身近なものに

【2008年7月25日 ニコンイメージング

ニコンからデジタル一眼レフカメラD700が発売された。最高機種のD3よりも実売価格で20万円も下回る価格帯でありながら、画質などD3の基本性能はほぼ受け継がれている。35mm判フルサイズの待望の新製品だ。


(ニコン D700の画像)

ニコン D700。装着されているレンズは AF-S VR Zoom-Nikkor ED 24-120mm F3.5-5.6G(IF)。クリックで拡大(提供:株式会社ニコン)

7月25日、ニコンから35mm判フィルムの画面サイズに準じた撮像面積を持つデジタル一眼レフカメラD700が発売された。ニコンでは、いわゆる35mm判フルサイズのことを「FXフォーマット」と呼び、APS-C相当サイズを「DXフォーマット」と称している。2007年秋にはFXフォーマット初のカメラとしてD3が発売されているので、D700はFXフォーマットとしては第2弾にあたる。ラインアップとしては、D3は最高機種、D700はD3の良さを踏襲しつつも、D3よりも小型で低価格な機種と位置付けられる。

FXフォーマットはDXフォーマットよりも撮像素子のサイズが大きいので、光学系の焦点距離が同じであればより広い画角を得ることができる。すなわち天体の部分的なアップを狙うよりも、広がりのある対象を全体的にとらえる撮影に向いていると言える。また、画素数が同じであれば撮像素子のサイズが大きいほど1画素あたりの開口面積が広いため、低ノイズ性能を実現しやすく、かつ広いダイナミックレンジを確保できる。

撮像素子はニコンが自社開発したCMOSセンサーで、有効画素数は12.1メガピクセル。常用ISO感度はISO 200〜6400で、さらにISO 25600までの増感とISO 100相当までの減感も可能。撮像素子や画像処理コンセプトはD3のものをほぼそっくり受け継いでいる。ISO感度を高く設定しても高感度ノイズを最小限にとどめるよう設計されており、D3の最大の強みとも言える高感度性能は同等かそれ以上だ。固定撮影でも星の日周運動を感じさせない短めの露出時間で、点状の星像と地上風景とを両立させた撮影ができる。レンズ前面にねじ込んで使用する拡散系のレンズフィルタを併用して星像をぼかすと美しい。また、超高感度設定と明るいレンズを組み合わせれば、流星や流星痕の撮影にも威力を発揮するだろう。

同じFXフォーマットのD3と異なる点もいくつかある。D3にはないイメージセンサークリーニング機能を搭載していることは特筆すべき点だ。天体撮影用途で注目すべきはボディが軽量化されたこと。D3はボディの質量が1240gなのに対し、D700は995g(いずれもバッテリを除く)。それでもデジタル一眼レフカメラとしては重量級であるが、天体望遠鏡に接続する場合は接眼部にかかる負担を少しでも軽減し、撮影システム全体の重量バランスを若干改善することができるだろう。ボディの小型軽量化が実現されている代わりにファインダー視野率は100%ではなく95%という仕様だ。

実売価格はボディのみ33万円前後。「AF-S VR Zoom-Nikkor ED 24-120mmF3.5-5.6G(IF)」が付属した「D700 レンズキット」も発売された。ひじょうに高機能なカメラであり、機能と特長はニコンのウェブサイトなどで確認していただきたい。

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