明け方の空に見え始めたボアッティーニ彗星

【2008年7月3日 アストロアーツ】7月7日更新

昨年11月に発見され、今年5月下旬を最後にしばらく日本からは見えなくなっていたボアッティーニ彗星(C/2007 W1)が、7月に入って明け方の空に戻ってきた。


(門田健一氏撮影のボアッティーニ彗星の画像)

明け方の低空で、強く集光したボアッティーニ彗星をとらえた。CCD全光度は6.7等で、コマは淡く広がり南西の方向に尾が見られる。クリックで拡大
撮影者:アストロアーツ 門田 健一/撮影日:2008年7月5日 3時38分(JST) 20秒露出×16枚/撮影機材:口径25cmF5反射+冷却CCD/ステライメージ Ver.6でメトカーフコンポジット

(寺嶋博氏撮影のボアッティーニ彗星の画像)

7月6日のボアッティーニ彗星。クリックで拡大
撮影者:寺嶋 博/その他のデータやコメントはボアッティーニ彗星(C/2007 W1)ギャラリーを参照

ボアッティーニ彗星(C/2007 W1)は、2007年11月20日(世界時)に発見された彗星だ。6月12日に地球に最接近し、24日には近日点(太陽にもっとも接近する点)を通過した。日本からは、5月下旬ごろまでは夕空に見え、6月中は南半球の空にあって見えなかったが、7月に入りふたたび明け方の東の空に見え始める。

彗星の明るさは、6月下旬に南半球で5等前後で観測されている。7月中は6等前後と予想されており、観測するには双眼鏡が必要だろう。7月中旬ごろまでは月明かりの影響がなく、好条件で観測できる。標準カメラレンズを使えばプレアデス星団(すばる)とのツーショットを写真に収めることもできそうだ。

7月下旬は下弦前後の月があり、観測しづらいだろう。その後彗星はだんだん暗くなっていくが、地平高度がどんどん高くなっていくので、この点では見やすくなるといえる。夏の間ずっと楽しめそうなので、ぜひ注目してみよう。

ボアッティーニ彗星(C/2007 W1)の軌道要素
村岡健治氏による(※角度に関する要素は2000.0年分点)

近日点通過(T)2008年6月24.88613日
近日点距離(q)0.8496581 AU
離心率(e)1.0001856
近日点引数(ω)306.55420゚
昇交点黄経(Ω)334.52378゚
軌道傾斜角(i)9.88926゚
元期(Epoch)2008年6月23.0日 TT

《ステラナビゲータで彗星の見え方をシミュレーション》

ボアッティーニ彗星(C/2007 W1)の位置を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して確認できます。ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。

また、ボアッティーニ彗星の位置を手軽に星図に表示するスクリプトを「コンテンツ・ライブラリ」で公開しています。ステラナビゲータの「コンテンツ・ライブラリ」からファイルをダウンロードし、実行してください。