【レポート】「星のソムリエ資格制度の全国普及モデルの開発」研究会(2月12日)

【2008年2月13日 アストロアーツ】

2月12日、東京・田町のキャンパスイノベーションセンター東京において、第2回となる「星のソムリエ資格制度の全国普及モデルの開発」研究会が開催された。全国で展開されている星空案内人(星のソムリエ)資格制度について、活動報告や制度の発展形の紹介、将来展望などが活発に議論された。


全国展開のようす

2008年2月現在、7団体13機関が資格制度を実施しており、さらに4団体が検討中(発表資料より)

研究会には北海道から九州まで全国各地よりおよそ50名の参加者が集まった。まず、山形大学の柴田氏が制度の概要について講演され、案内人となることの位置づけ(自ら天文学を学ぶ意欲の喚起/市民に知識や楽しみ方を伝える役割/宇宙の魅力に触れる喜び)や、資格化することの意義(ボランティアなどにスタートラインを提示/統一した基準の設定/案内人の品質保証)などが発表された。その後、各地の実施状況が報告された。

  • 福島県郡山市ふれあい科学館では、制度導入以前より開催されていたボランティア講座などと組み合わせて展開した。「生涯学習意欲の拡大」「人の交流」などを目標としている
  • 東京都三鷹地区での開講には、定員の8倍を超える多くの応募があった。地域再生計画と連携した展開を進めている
  • 和歌山大学では、準案内人レベルの内容を授業として開講した。教える内容やレベル、進め方など「教材の標準化」という点で、制度に大きな意義を感じた(必ずしも資格とは結びつかなくてもよい)
  • 兵庫県では、西はりま天文台など5施設が連携して制度を運営した。プラネタリウム解説に特化した講座を開くという新たな試みも行っている
  • 九州初となる制度開講を目指して、(財)星のふるさとが準備中

バックグラウンドや運営規模、方式などが団体によって多様であるため、制度導入を検討中の団体だけでなく、すでに実施中の(発表を行った)団体にも多くの驚きや発見があったようだ。質疑応答も活発に交わされ、充実した研究会となった。

また、受講希望者の受け入れ態勢や資格取得後のフォローに関する問題点、講座内容(とくに「星空の文化」の伝え方)に関する検討、新設講座など将来の展開、についてもさまざまな意見交換があった。懇親会でも熱い議論が続けられていたようだ。

星空案内人資格認定制度が「全国」で実施されるようになってから、ようやく1年になろうとしている。研究会では課題も多く発表されたが、同時に受講者の満足度がひじょうに高いという報告もされており、本制度はかなり良いスタートをきったのではないかという印象を受けた。

どの団体にも受講や開催に関する問い合わせの数は多いようで、「ソムリエ」に対する関心の高さがうかがわれる。課題の改善はもちろんのこと、実施機関の拡大や案内人の活躍も含めて、今後の発展に大いに期待したい。

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