札幌の金田さん、こぎつね座に増光中の新星を発見

【2007年12月28日 VSOLJ ニュース(186)】

北海道札幌市の金田宏さんが、こぎつね座に推定8等級台の新星を発見された。金田さんによる新星の発見は初めて。こぎつね座には8月にも新星が出現していて、日本の観測家が発見している。


VSOLJ ニュースより

(著者:山岡均さん(九大理))

歳の瀬も押し詰まってきましたが、注目の新天体の発見ラッシュが続いています。札幌市にお住まいの金田宏(かねだひろし)さんは、現在夕方の西空低く見えているこぎつね座の一角に、新星を発見されました。金田さんは、小惑星を多数発見・観測されているベテランの天体観測家ですが、新星を発見するのは初めてです。

金田さんは、12月25.354日(世界時、以下同様)にデジタルカメラ(ニコン D40)で撮影した画像から、8等級台の新天体を発見しました。薄雲を通しての観測だったので、明るさは不確実だそうです。天体の位置は、天体を確認した板垣公一(いたがきこういち)さん(山形市)の測定では、以下のとおりです。

  赤経: 19時48分08.84秒
  赤緯:+21度15分27.6秒 (2000年分点)
  新星周辺の星図

こぎつね座は、はくちょう座の南にあり、夏の天の川の中になります。こぎつね座には今年8月にも、新星が発見されています(VSOLJニュース 178)。

なお、岡山県津山市の多胡昭彦(たごあきひこ)さんも、この天体を26.38日撮影のデジタルカメラ(キヤノン 20D)画像で独立に発見されています。26日には、天体の明るさは7等級台で報告されています。

天体のスペクトル観測が26日、美星天文台、ぐんま天文台、岡山県井原市の藤井貢(ふじいみつぐ)さん、西はりま天文台の各所でそれぞれ行われ、この天体は、爆発後すぐの、おそらくもっとも明るい時期(極大)に至る前の新星であると判明しています。こぎつね座の今年2個目の新星ということで、「2007年こぎつね座第2新星」とも呼ばれますが、すでに正式な変光星名「こぎつね座V459」が付与されています。

今後の光度変化やスペクトル変化の追跡が望まれます。


こぎつね座V459の位置

この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。