火星の大型クレーター、宮本正太郎博士にちなみMiyamotoと命名

【2007年12月25日 アストロアーツ】

京都大学教授・日本天文学会理事長などを務められた宮本正太郎博士にちなんで、火星の大型クレーターがMiyamotoと名づけられた。


(情報提供:作花一志さん、佐藤健さん)

(Miyamotoクレーターの位置を示した火星図)

Miyamotoクレーターの位置を示した火星図。USGS(United States Geological Survey)より引用

IAU(国際天文連合)の火星命名委員長であるDr. Bradford A. Smithから火星のクレーターにMiyamotoの名がつけられたという知らせがありました。位置は南緯2.9度、西経7.0度、直径は160キロメートルです。

名前の由来は、京都大学教授・花山天文台長・日本天文学会理事長・国際月面学会会長・ 京都コンピュータ学院名誉学院長などを務めた宮本正太郎(1912-1992)博士にちなむものです。宮本博士の業績は天体物理学のパイオニアとして惑星状星雲から火星・月まで多方面におよびますが、もっとも有名なのは太陽のコロナの加熱メカニズムについての研究です。没後1年に宮本博士の論文を100編集積した「宮本正太郎論文集」が出版されました(京都コンピュータ学院出版:編者作花一志 1993)。この本をもとに佐藤健さんがIAUに命名申請し、今年12月18日に受理されました。火星のクレーターに日本人の名前がつけられたのは、佐伯恒夫氏(Saheki、2006年8月命名、直径85キロメートル)に続いて2回目です。

火星には、Schiaparelli(471km)、Huygens(470km)など超大型クレーターもありますが、Miyamoto(160km)もずいぶん大きなクレーターです。外壁の北半分が消えかけており、クレーターとして不鮮明なのが残念ですが、それがかえってこのクレーターを地質学的に興味深いものにしているとも言えるでしょう。USGS(= United States Geological Survey)の地図にはすでに左上に載っています。 画像はそこから切り抜いたもので、横線は南緯5度、縦線は西経5度です。2004年1月4日、オポチュニティー(マーズ・ローバー2号機)が着地した近くです。さらにMars Science Laboratory(2009年秋打ち上げ、2010年夏着陸予定)の着陸地の候補になっているそうです。