ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた巨大な星雲NGC 3603

【2007年10月12日 HubbleSite

NASAのハッブル宇宙望遠鏡(HST)が撮影した巨大な星雲NGC 3603の画像が公開された。NGC 3603には巨大な星団が存在しており、数千個の星が美しく輝いている。


(HSTが撮影したNGC 3603)

HSTが撮影したNGC 3603。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, and the Hubble Heritage (STScI/AURA)-ESA/Hubble Collaboration)

NGC 3603は、りゅうこつ座の方向約2万光年の距離にある星雲だ。天の川銀河のりゅうこつ腕(渦状の腕)の中にあり、そこでは活発な星形成が進んでいる。

HSTがとらえた画像には、大量のちりとガスに囲まれた若い星団が写し出されている。

星団に存在する高温の若い星からは、高速の恒星風が吹き強烈な紫外線が放射され、星団の周りに大きな泡のような構造を作っている。放射はその周囲の星雲中を伝わり、数光年もの長さに伸びる巨大な濃いガスの柱を削っている。このようなガスの柱には、生まれたばかりの星が存在しているのだろう。

また、画像中右上には、「ボックグロビュール」と呼ばれる暗黒星雲が小さくとらえられている。この雲を形成しているちりやガスの質量は、太陽の10倍から50倍ほどもある。ボックグロビュールは、昆虫のまゆのようなものだ。画像にとらえられているボックグロビュールの中でも、すでに新しい星の形成が始まっているかもしれない。

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