銀河団に突進する銀河のすがた

【2007年9月28日 Chandra Photo Album

長い尾をたなびかせて、銀河団に突進する銀河ESO 137-001の姿がとらえられた。銀河に取り残された物質からは、新たに星が生まれているようだ。


(銀河ESO 137-001の画像)

ESO 137-001。クリックで拡大(提供:(X線)NASA/CXC/MSU/M.Sun et al、(可視光、Hα光)SOAR (MSU/NOAO/UNC/CNPq-Brazil) /M.Sun et al.)

(X線観測衛星XMM-NewtonがとらえたAbell 3627の全体像)

X線観測衛星XMM-Newtonがとらえた銀河団Abell 3627の全体像。白い枠で囲まれているのが上の画像の範囲。クリックで拡大(提供:XMM、ESA/MSU/M.Sun et al.)

NASAのX線天文衛星チャンドラと南米チリにある望遠鏡SOARが、みなみのさんかく座の方向2億光年の距離に存在する銀河ESO 137-001を観測した。どちらも、銀河からたなびく20万光年という長い尾をとらえている。

ESO 137-001は、巨大な銀河団Abell 3627の中心に向かって突進している。長い尾の正体は、銀河からはぎとられた物質だ。

チャンドラによるX線観測では、銀河団に存在する数百万度のガスが観測された。そして、SOARによる赤外線観測は、高温ガスの尾を中心に、若い星に照らされた水素が放つ光をとらえている。それらの星は、約1千万年前に生まれたと考えられている。

銀河団

銀河群より大規模な恒星の集団を銀河団と呼ぶ。直径数千万光年の空間に数百〜数千個オーダーの銀河が集まっている。銀河系にもっとも近い銀河団は「おとめ座銀河団」で、1000個以上の銀河が集まっている。私たちの局部銀河群を含めた局部超銀河団の中心に位置し、局部銀河群は「おとめ座銀河団」方向へ引きつけられていることも観測されている。(「最新デジタル宇宙大百科」より)