中村祐二さんと櫻井幸夫さん、さそり座新星発見について語る

【2007年3月7日 アストロアーツ】

先月2月は、日本人ベテラン捜索者によるさそり座新星の発見が相次ぎました。最初の新星V1280 Scoを発見されたのは、三重県亀山市の中村祐二(なかむらゆうじ)さんと茨城県水戸市の櫻井幸夫(さくらいゆきお)さんでした。そして、中村祐二さんは、続くV1281 Scoについても、静岡県掛川市の西村栄男(にしむらひでお)さんと共に発見者となりました。中村さんと櫻井さんより、肉眼等級にまで明るくなったV1280 Sco発見についてのコメントをお寄せいただきましたのでご紹介します。


「「さそり座新星2007」の発見」(櫻井幸夫)

(V1280 ScoとV1281 Scoの写真)

V1280 ScoとV1281 Scoの写真。クリックで拡大(撮影者/伴 紀美男 撮影日/2007年2月25日 撮影場所/福島県いわき市)

2月5日の朝は、午前5時起床。すぐ身支度を整えて庭先の観測所に直行し捜索写真の撮影にとりかかりました。5時45分に終了後、自宅に戻りデータ整理をしてから出勤、夕方7時過ぎに帰宅後、すぐ点検を開始しました。17h10m、-32°の区画から9等級の疑問天体を発見したのは、20分後のことでした。直ちにノイズ・変光星・小惑星についてチェックし、更に一昨日に同位置を撮った画像を調べるもその存在は認められず、この時点で新星に違いないと思い、東亜天文学会の中野主一さん宛に発見データをメイルで報告しました。

翌朝は4時に起床し、確認のため観測所に向かうも曇天のため不調。5時に自宅に戻ってメイルをチェックすると中野さんから着信あり。スミソニアンに送った報告のCcと送付した画像の写野についての問い合わせでしたのですぐに返信しました。この後、出勤直前の7時30分までの間に数度のメイルのやり取りを経て正式に発見が認められました。

この星は過去にみつけた新星も含めて唯一肉眼新星となったので喜びもひとしおです。また、今回も中野さんと門田健一さんには大変お世話になりました。この場を借りてあらためてお礼申し上げます。


「さそり座新星2007発見事情」(中村祐二)

当地(三重県亀山市)では、2月は冬場ではもっとも天候の悪い時期ですが、今年は暖冬のせいか、異常なくらいによく晴れてくれました。

5日は、5時前から自宅天文台のCCDカメラ(135mm F2.8レンズ)で約1時間、夏の天の川の撮影を行いました。6時40分から画像チェックをはじめ、1コマ目の半ば(時間にして10分後)で、いきなりさそり座に不審天体をとらえました。出勤の時間が迫っていましたが、仕事を2時間休むことにして、過去のCCD画像と写真ネガに写っていないことを確認しました。9時前に九州大の山岡均先生の自宅に電話とファックスで報告しました。翌日未明、伊賀市の田中利彦氏や門田健一氏らによって観測され、西はりま天文台で行われたスペクトル観測から新星(その後V1280 Scoと命名された)であることが確認されました。さらに驚いたことに、20日未明にも前回とまったく同じパターンで、V1280 Scoからわずか南3°の位置に新星V1281 Scoを発見することができました。

幸運にも、両星とも1コマ目で新星に遭遇したおかげで、早く報告することができました。一晩にチェックできる画像は数コマで、1回の撮影分の画像チェックを終えるには数日を要します。チェックの迅速化が今後の課題です。