太陽観測衛星「ひので」がとらえた月のでこぼこ

【2007年2月27日 国立天文台 アストロ・トピックス(276)

太陽観測衛星「ひので」は、2007年2月18日1時(日本時)に、衛星の軌道上で起こった部分日食を観測しました。今回の日食は地上では見ることができず、地上約700kmを周回する衛星軌道でのみ起こったものです。「ひので」から見て、太陽の手前(の南側)を月(の北側)が通過して、日食が起こりました。

0.2秒角の分解能を誇る可視光・磁場望遠鏡(SOT)では、太陽面を隠した月の影から、月の縁の地形のでこぼこをとらえることができました。月面での0.2秒角は約400mに相当します。また、観測画像の月の縁の形から、その付近にあるクレーターを割り出すことができました。

この観測画像は画像解析により、分解能をさらに10倍以上(月面で40mより小さいものを判別できる程度)にまで引き上げることができると見込まれています。月の縁を真横から見ているため、月面上での高さが精度良く割り出せるようになります。このようにして得られた月面の高度データは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が今年打ち上げる予定の月探査周回衛星セレーネ(SELENE)に搭載されるレーザー高度計による観測データとの比較に活用できると期待されています。

「ひので」ミッションとしては、今回得られた観測データを用いて、本来真っ暗な月の影に回り込む太陽光、すなわち光学系の散乱光の影響を解析し、今後の観測精度の向上に役立てます。

また、X線望遠鏡(XRT)では、太陽コロナを背景に、影となった月が通過する様子がとらえられています。

これらの詳細な画像は、国立天文台「ひので」ホームページにて公開されました。ぜひ、ご参照ください。