40年ぶりの大彗星、マックノート彗星(C/2006 P1)

【2007年1月15日 アストロアーツ】

太陽に接近したマックノート彗星はマイナス5等にまで増光しました。これは、1965年の池谷・関彗星に次ぐ明るさです(1935年以降の集計)。太陽に近いとはいえ、観測衛星SOHOによるリアルタイム画像や白昼に地上から撮影された画像は、「21世紀の大彗星」と呼ぶにふさわしい風格を見せています。


(太陽観測衛星SOHOによるマックノート彗星(C/2006 P1)の画像)

太陽観測衛星SOHOによるマックノート彗星(C/2006 P1)。クリックするとLASCO C3カメラの最新画像ページへ移動(提供:ESA, NASA)

(白昼のマックノート彗星(C/2006 P1))

白昼のマックノート彗星(C/2006 P1)。クリックで拡大(撮影日時/2007年1月14日13時51分 撮影場所/東京都渋谷区(自宅) 撮影者/大熊正美)

(14日のマックノート彗星(C/2006 P1)(1))

夕方のマックノート彗星(C/2006 P1)(1)。クリックで拡大(撮影日時/2007年1月14日16時45分 撮影場所/東京都新宿区(都庁北展望室)撮影者/大熊正美)

(14日のマックノート彗星(C/2006 P1)(2))

夕方のマックノート彗星(C/2006 P1)(2)。クリックで拡大(撮影日時/2007年1月14日16時33分 撮影場所/神奈川県川崎市 撮影者/大川拓也)

この週末に、太陽に接近して明るさを増しながら、迫力のある尾を伸ばし移動するマックノート彗星の姿を太陽観測衛星SOHOのリアルタイム画像で見た方も多かったことでしょう。この画像を撮影している装置LASCO C3は、本来太陽周囲の淡いコロナ(太陽の上層大気)を撮影するための装置です(太陽は視野の中央で円盤に隠されています)。しかし、マックノート彗星はLASCO C3が想定している明るさをはるかに超えた天体でした。彗星の左右に伸びている光の筋は、CCDの受光部からいわば「あふれてしまった」光です。

一方地上からの観測は、太陽にもっとも接近する13日以降は難しいと考えられていました。しかし、週末都内を含め日本各地で、金星よりも明るく、くっきりと輝く核を持ったマックノート彗星が白昼に目撃されています。アストロアーツの投稿画像ギャラリーには多数の写真が、「まさか撮れるとは思わなかった」「初めて青空の中で彗星をとらえた」などの驚きの声とともに寄せられています。

今後マックノート彗星は南半球の空で高度を上げていくと予想されます。北半球からの観測はそろそろ見納めとなるものの、どのように変化していくかに注目が集まり続けるでしょう。

《マックノート彗星の位置》

天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ Ver.8」で表示してマックノート彗星の位置を確認できます。また、マックノート彗星がLASCO C3の視野内で移動していくようすを再現したアニメーションを「コンテンツ・ライブラリ」で公開しています。ステラナビゲータ Ver.8をご利用の方は、ステラナビゲータの「コンテンツ・ライブラリ」からファイルをダウンロードし、実行してください。

ステラナビゲータ・ユーザー以外の方は、SOHO Hotshotのページ内で公開されているLASCO C3の視野内における彗星の移動経路を示した画像を参照してください。

<参照>

  • IAUC 8796: P/2007 A3; P/2007 A2; P/2006 Y2; C/2006 P1 [29589-2007/12-S1]

<関連リンク>

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