板垣さん、超新星2006ovと新星を相次いで発見

【2006年11月27日 CBET 756 / VSOLJニュース(163)】

山形県の板垣公一さんが、超新星2006ovを発見され、またもや驚異的なペースで自身の記録を更新しました。また、この超新星発見の翌日に、M31に新星を発見されました。


板垣さん、超新星2006ovを発見(VSOLJニュース)

(著者:山岡均さん(九大理))

18世紀のフランスの彗星捜索者シャルル・メシエは、彗星とまぎらわしい、ぼうっとした天体を表にしました。これがメシエ天体で、星雲や星団、銀河など、108個ほどが並べられています。この中に含まれている銀河は38個ですが、私たちから近くにあって明るい銀河が多く、メシエ天体に超新星が出現すると明るく観測されます。

山形県山形市にお住まいの板垣公一(いたがきこういち)さんは、11月8日の超新星2006my(VSOLJニュース 161)に引き続いて、明け方の空に現われたM61渦巻銀河の中に超新星2006ovを発見しました。彼自身、今年10個目の超新星発見(独立発見を含む)です。自身が持つ、個人天体発見数(通算/年間)の日本記録を、またもや更新されました。

超新星は、11月24.86日(世界時、以下同様)撮影の画像で、14.9等の明るさで発見され、翌25.764日に確認されました。超新星の位置は以下のとおりで、おとめ座の渦巻銀河M61の中心から東に6秒角、北に51秒角の位置にあたります。渦巻の腕の中です。発見画像は、以下の関連リンク Latest Supernovae 内で見ることができます(拡大画像を見るには、ページ内の2006ovのサムネイルをクリックしてください)。

  赤経  12時21分55.30秒
  赤緯 +04度29分16.7秒 (2000年分点)
  M61銀河の周辺星図と、DSS画像に表示した超新星

超新星2006myと同様、これまで何か月かは太陽の背後で観測できなかった方向なので、爆発間もない超新星かどうか関心が集まりましたが、ホイップル天文台での分光観測で、爆発から1か月ほどが経過したII型超新星(水素の線が顕著なもの)であることが判明しています。このスペクトルは、Supernova Identification at the CfAに ``SN 2006ov (M61) (II) [CBET 757] - November 25, 2006 UT, FLWO 1.5m spectrum'' として掲載されています。

超新星2006ov発見の翌日に、新星を発見

板垣さんは、超新星2006ov発見の翌日にアンドロメダ座大銀河M31に新星を発見されました。板垣さんはこの新星について、11月21.657日には出現が確認できず(限界等級19.5等)、24.668日に17.9等(発見前の観測)、25.494日には17.4等であったことを報告しています。報告された新星の位置は以下のとおりです。

  赤経  00時42分56.81秒
  赤緯 +41度06分18.4秒 (2000年分点)
  新星の星図

板垣さんは超新星だけでなく銀河系外の新星も数多く発見されており、今回の発見は今年8個目(M31に7個、M33に1個)となります。


超新星2006ovとM31の新星の位置

この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ Ver.8」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行なってください。

<参照>

<関連リンク>

<関連ニュース>