中間的な超新星?弱いガンマ線バースト、強めの爆発

【2006年9月5日 ESO Science Release

超新星の中でも、けた違いに爆発エネルギーが大きいのが「極超新星」だ。極超新星はブラックホールの生成やガンマ線バーストを伴うなど、普通の超新星とは異質とも言えるほどの違いがある。だが、今年の2月に見つかった「X線フラッシュ」を伴う超新星が、超新星と極超新星の間にある大きな谷を埋めるかもしれない。


(SN 2006ajの画像)

SN 2006aj。左はDSS2による、爆発前の写真。○で囲まれたのが、SN 2006ajの舞台となった銀河。右は、VLTによるSN 2006aj増光中の写真。クリックで拡大(提供:DSS2, ESO)

超新星といえば、巨大な星の最期に起こる激烈な爆発である。過去に、われわれの天の川銀河で起きた超新星爆発が観測されたときは、昼間でも見えるほどの強い輝きを見せたという。しかし、それほどの爆発であっても、あらゆる超新星と比べればまだまだ弱い。

普通の超新星と比べて、極超新星(解説参照)は別格だ。極超新星の輝きそのものも強いが、爆発の最初の数秒間で解放されるエネルギーは、太陽が100億年の生涯で放射するエネルギーを上回るほどのものだと考えられている。もちろん、どの極超新星も数億光年以上離れているので、望遠鏡でなければ観測できないほど暗い。だが、最初に放出されたエネルギーはガンマ線バースト(GRB解説参照)として科学衛星などで観測され、爆発の強さを物語ってくれる。

典型的な超新星は、(1)太陽質量の10倍程度の恒星が(2)GRBを伴わずに爆発し(3)中性子星が残る、というものである。一方、極超新星は(1)太陽質量の40倍程度の恒星が(2)GRBを伴って爆発し(地球から見た向きによってはGRBが観測されないこともある)(3)ブラックホールが残るものだ、と推測されている。両者の差は歴然としていて、異質とさえ言えた。

そんな中で、欧米や日本などの国際的な研究者チームが、中間的な超新星爆発を観測したと発表した。科学雑誌「ネイチャー」の8月31日号に、この超新星に関する論文が4つも掲載されたことから、注目度の高さがうかがえる。

まず最初に、NASAの観測衛星スウィフトがひじょうに弱いGRBを検出した。ガンマ線の量はごくわずかで、どちらかというと「X線フラッシュ(XRF)」とでもいうべき現象だった。今年(2006年)の2月18日に観測されたことから、GRB 060218もしくはXRF 060218と呼ばれる。爆発の位置はおひつじ座の方向4億4000万光年の距離で、GRBとしては歴代2位の近さ。さらに、大抵のGRBが数十秒程度で消えるのに対して、2000秒近く観測された。

GRBの直後に、超新星とみられる輝きが検出された。かくして、世界中の天文学者が、今までにないタイプの超新星・SN 2006ajの一部始終を見届けることができたのである。その明るさは、極超新星の半分ほどだが、普通の超新星の2, 3倍だった。

放出されたエネルギーや爆発の際に放出された元素の測定などによれば、SN 2006ajとなる前の恒星は太陽質量の20倍程度だったようだ。もう少し重ければブラックホールを残したと思われるが、どうやら残骸は中性子星らしい。しかし、ただの中性子星ではなく、「マグネター」かもしれないとの指摘がある。多くの中性子星は強い磁場を持ちながら高速で自転しているため、規則正しい信号を送っているように見える「パルサー」として観測されるが、「マグネター」はさらに強力な磁場を持つ天体だ。XRFが放出されたこと、そしてXRFが異常に長い間続いた原因は磁場にある、とも考えられている。

まとめれば、SN 2006ajは(1)太陽質量の20倍程度の恒星が(2)ひじょうに弱いGRBを伴って爆発し(3)マグネターが残る超新星だった、ということになる。まさに、中間的な存在だ。

恒星の進化を考えると、SN 2006ajのような超新星は極超新星の100倍ほどの頻度で起きているはずである。しかし、観測技術の限界から、超新星もXRFも今回のように比較的近くなければ検出できないようだ。ちなみに、極超新星自体の発見数は少ないものの、GRBはスウィフトなどによって(正体が極超新星以外と見られるものも含めて)1日あたり1個近いペースで観測されている。

極超新星とガンマ線バースト

年老いた星が最後に大爆発を起こして四散する超新星爆発。この中でも特に爆発規模が大きくて通常の超新星爆発の10倍以上の爆発エネルギーを持つものは「極超新星爆発」と呼ばれている。太陽質量の数十倍もある星が重力崩壊を起こし、ブラックホールになるときに伴う現象だ。特に最近になって極超新星が話題を集めているのは、これまで謎とされていた「ガンマ線バースト」と呼ばれる宇宙最大のエネルギー現象の原因の1つとみられるようになったためだ。ガンマ線はX線よりさらに波長の短い電磁波だ。ガンマ線バーストとは、宇宙のある一点から突然、強力なガンマ線がひじょうに短い時間だけ飛来してくる現象...(「150のQ&Aで解き明かす 宇宙のなぞ研究室」Q.093 ガンマ線バーストって何? より抜粋 [実際の紙面をご覧になれます])