3月29日の皆既日食 速報

【2006年3月31日 アストロアーツ / NASA Feature

2006年3月29日、アフリカから中央アジアにかけて皆既日食が観測された。訪れた多くの日本人もここ数年で最も好条件な皆既日食を満喫したようだ。一方、日本国内では、インターネットを通してこの現象が中継された。


エジプトのサルームで撮影された皆既日食の画像

国際宇宙ステーションから撮影された皆既日食時の地球

(上)エジプトのサルームで撮影された皆既日食の画像。(撮影: 石川勝也氏)(下)国際宇宙ステーションから撮影された皆既日食時の地球。(提供: NASA)ともにクリックで拡大

きわめて好条件だった今回の日食。エジプトのサルームでこの現象を捉えた石川勝也氏(弊社「月刊星ナビ」のNews Clip 解説者)より、その様子を伝える美しい画像が届いた(画像 上)。

現地では、午前11時20分(日本時間18時20分)頃から、太陽が少しずつ欠け始め、午後0時半すぎには完全に太陽が隠れた。約4分間の月と太陽による天文ライブショーを見に集まった人々からは、ため息や歓声があがったという。

また、国際宇宙ステーションの乗組員も、この現象を地球の上空約370キロメートルから撮影した。公開された画像には、月が地球に落とした影が捉えられている。この影は、ブラジルから始まり、北東へ移動。北アフリカ、中国西部、そしてモンゴルへと移動していった。

国際宇宙ステーション乗り組み員のアメリカ人、ジェフリー・ウィリアムス(Jeffrey Williams)は「歴史の中で繰り返されてきたこのような天文現象によって、人類は新たな発見を求め、宇宙探査へと突き動かされてきたのだろう」と語り、宇宙飛行士としての決意を新たにしたことを強調した。

一方、同じく乗組員でロシアのパヴェル・ヴィノグラドフ(Pavel Vinogradov)のコメントも別の意味で科学者らしい。地上で多くの人が日食に熱狂する中で、彼は冷静にこう述べた。「私たちはただ、月が地球と太陽の間に入り込んだのを見ただけですよ」


アストロアーツでは、今後情報が入り次第、今回の皆既日食について改めてお伝えしていく予定です。