アンテナ銀河の中心に隠されていた、生まれたばかりの星々の姿

【2004年9月14日 Spitzer Press Release

スピッツァー宇宙赤外線望遠鏡が撮影したアンテナ銀河の画像が公開された。この画像から、今まで隠されていた銀河の星形成領域が明らかにされた。

(アンテナ銀河の画像)

アンテナ銀河の画像。(左)合成画像、(右側上)スピッツァーによる赤外線画像、(右側下)可視光画像。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/Z. Wang (Harvard-Smithsonian CfA); 可視光:M. Rushing/NOAO)

われわれから6800万光年の距離にある、からす座に位置するNGC 4038と4039の2つの銀河は、アンテナ銀河の名で知られている衝突銀河だ。スピッツァー宇宙赤外線望遠鏡が捉えたのは、衝突によって引き起こされた爆発的な星の誕生領域で、2つの銀河が丁度出会い、重なり合っている領域にあたる。専門家は、この領域で星が誕生していると理論的には予測していたのだが、星形成の度合いについては定かではなかったのである。

右側上の画像は、スピッツァー宇宙赤外線望遠鏡によるもので、もっとも顕著な特徴である赤い部分は、星を隠すちりの雲を捉えている。青い部分は、年老いた星の存在を示しており、白は、衝突している2つの銀河の核である。一方、右下の画像は可視光によるもので、星形成領域が目立っている。

アンテナ銀河は、典型的な銀河の衝突・合体のサンプルと言えるものだ。銀河の合体は、銀河の成長と進化において重要な役割を果たしており、このような銀河の観測は、衝突銀河やわれわれの天の川銀河についての理解の一助になる。NGC 4038と4039銀河は、やがて1個の楕円銀河へと姿を変えると考えられているが、われわれの天の川銀河も同様に、いずれアンドロメダ大銀河と衝突すると考えられている。