赤外線宇宙望遠鏡スピッツァー、天の川銀河にそっくりな銀河を観測

【2004年7月8日 Spitzer Press Release

赤外線宇宙望遠鏡スピッツァーによって捉えられた、われわれの天の川銀河とひじょうによく似た姿をした銀河NGC 7331の画像が公開された。

(NGC7731銀河の画像)

NGC 7731。色は全て疑似カラーで、腕は赤茶色、中心のバルジは青色、星形成の進むリング状の構造は黄色で表されている(提供:NASA/JPL-Caltech/STScI)

公開されたのは、われわれから5000万光年離れたペガスス座にある銀河NGC 7331の画像である。この銀河は、スピッツァー赤外線近傍銀河サーベイ(原文:Spitzer Infrared Nearby Galaxies Survey)の最初のターゲットだ。このサーベイでは75の近傍銀河が観測され、他の望遠鏡による観測と合わせた多波長のデータが得られることになっている。

天の川銀河(銀河系)についてわれわれは、その中にいるためにかえって銀河の中心で何が起きているかを捉えることが難しい。そこで、銀河系そのものの代わりに似たような銀河を外から観測することで、銀河系の研究に役立てようというわけだ。実際には、同じ環境から生まれた双子の銀河というわけではないのだが、NGC 7331と銀河系は、星の数や銀河の質量、渦状腕、星形成率などで共通する点が多い。一方で、NGC 7331に見られるような内側の星形成リングが銀河系にもあるかどうかはわかっていない。

画像には、銀河の腕やバルジ、星形成の進むリングなどさまざまな特徴が捉えられている。観測データからは、バルジを構成しているのは主に年老いた星であることや、リングは大量のガスと有機分子の塵を含んでいることなどが明らかになっている。さらに、分光観測の結果によれば、NGC 7331の中心にブラックホールが存在しているか、または大質量星が集中していることが示されている。

<参照>

<関連リンク>