天の川銀河では、劇的な星形成が進行中

【2004年6月10日 University of Wisconsin - Madison, News Release

NASAのスピッツァー宇宙赤外線望遠鏡による、われわれの天の川銀河に関する詳細な観測から、天の川銀河では専門家の予想以上に大量に新しい星が生みだされていることがわかった。

(RCW 49星雲の画像)

RCW 49星雲。300個以上の形成されたばかりの星が存在している(提供:NASA/JPL-Caltech/University of Wisconsin-Madison)

RCW 49という星雲の中心にある小さな星の集団を赤外線で観測したところ、形成されたばかりの300個以上の星が発見された。これらの星は「原始星」と呼ばれるもので、星を取り囲んで渦巻く、ちりの円盤をもっている。このような環境は、惑星系を生み出すのにもっとも理想的とされている。専門家によれば、このような領域は銀河内に数多く存在するはずで、決して特別ではない。

星を取り巻いて存在する冷たく巨大なちりとガスの円盤は中心の恒星に成長材料を提供するが、同時に惑星にも円盤から物質が提供されると考えられている。このような原始星の観測はひじょうに興味深いのだが、通常ちりの層がわれわれの観測の目をさえぎってしまう。しかし、スピッツァー宇宙赤外線望遠鏡の赤外線の目は、このような領域の観測に適しており、かつ高レベルの機能を兼ね備えている。これにより、膨大な原始星についてのデータが得られることになっている。また、原始星のリストだけではなく、成長の初期段階別のスペクトルのデータも併せて蓄積されるので、完全な星の進化の経路を明らかにするのに役立つだろう。

スピッツァー宇宙赤外線望遠鏡による観測は、天の川銀河の3分の2について行われることになっている。宇宙的スケールから言えば狭い領域だが、今までにない観測能力のおかげで、専門家の概念や推測を覆すような驚きの発見の数々が期待できるということだ。

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