こどもの日の早朝に皆既月食

【2004年4月28日 国立天文台 アストロ・トピックス(14)

今年のこどもの日(5月5日)早朝には、皆既月食という天文現象が起こります。この皆既月食は、日本では2001年1月10日以来の久しぶりの現象となります(国立天文台・天文ニュース 410)。

皆既月食というのは、満月が地球の影にすっぽりと入り込んでしまう現象です。その時に月には太陽の光が直接届かなくなって、地球の高層大気を回り込んできた赤色の光だけに照らされる赤銅(しゃくどう)色の月となります。大規模な火山噴火などがあると、高層大気に火山灰が舞うために、その光も届かなくなり、皆既中の月が全く見えなくなったりしますが、今回はその可能性はなさそうです。

ただ、今回の皆既月食では、残念ながら日本では皆既中の月を長時間楽しむことはできません。皆既が始まる頃には、月が西の地平線に沈んでしまうためです。

部分月食の開始は午前3時48分ですから、月はすでに西にかなり傾いています。皆既食の開始が4時52分となりますので、関東以北では皆既食になる前に月が沈んでしまいます。皆既食の最大が5時30分で、関東以西でも皆既食の最中に月が沈む月没帯食となります。

ただし、沖縄などの南西諸島では、食の最大まで見ることができます。その意味で、今回の皆既月食は条件的には恵まれていませんが、逆に言えば地平線に沈んでいく月を、じっくりと眺めるチャンスかもしれません。

また、各地の公開天文台では月食の様子をインターネットで中継するところもありますので、家の中でパソコンを使って観察してもおもしろいでしょう。

ちなみに、次の月食は 2005年10月17日となりますが、これは最大でも7パーセントしか欠けない部分月食です。次の皆既月食は、2007年3月4日ですが、日本では今回と同様に皆既食にならないうちに沈んでしまいます。皆既中を含めて条件が良く観察できるのは、2007年8月28日の皆既月食となります。

彗星は夜空が美しい場所でないと、なかなか眺めることができませんが、皆既月食は天気さえ良ければどこでも楽しめる現象ですので、こどもの日には早起きして眺めたいものです。

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