史上初、重力マイクロレンズ効果を利用した系外惑星の発見

【2004年4月17日 JPL News Realess

重力マイクロレンズ効果によって初めて、赤色矮星の周りに惑星が発見された。星や惑星による重力が宇宙に浮かぶレンズとして働き、その背後にある遠方の星を拡大し明るく見せてくれるという効果を利用した、新たな系外惑星探査の手法である。

(発見された赤色巨星と惑星の想像図)

発見された赤色巨星と惑星の想像イラスト(提供:NASA/JPL-Caltech)

発見された惑星系はいて座にあり、われわれから1万7000光年離れている。惑星は木星の1.5倍の大きさで、中心にある赤色矮星から地球・太陽間の3倍ほど離れた軌道を公転している。これら2つの天体の重力によって、約2万4000光年かなた(天の川銀河の中心付近)にある星が拡大され、われわれにその姿を見せてくれているのである。

重力マイクロレンズ効果を利用した系外惑星発見の手法は1991年に提案されている。これまでにも重力マイクロレンズ現象自体は観測されたことがあるが、系外惑星によるものは今回が初めてなのだ。過去の重力マイクロレンズ現象の観測と異なり、今回の観測では、レンズ源となる質量の大きな天体が2つ存在することを示す光のパターンが捉えられた。詳しく分析したところ、小さい天体の質量は(大質量とはいえ)大きい天体の質量の0.4%しかないことがわかり、小さな天体は親星のまわりを周る惑星であるという結論に至ったわけだ。

今回の結果は、重力マイクロレンズ現象という手法が実際に系外惑星の発見に利用できることを示す重要なものである。一方で、重力マイクロレンズはレンズとなる天体のごく近くでしか見られないため、この方法で惑星を発見したり存在を確認したりするためにはひじょうに多くの星からの光を観測し続ける必要があるとのことだ。