ミステリアスな新種のブラックホールを発見

【2004年3月12日 Chandra Photo Album

NASAのX線観測衛星チャンドラによって、ひじょうに奇妙な強いX線源がM101で複数発見された。発表によると、新種のブラックホールかもしれないということだ。

(M101銀河で発見された準軟X線源の画像)

M101で発見された準軟X線源(緑の四角)。クリックで拡大(提供:NASA/CXC/SAO/R.DiStefano et al.)

画像中の小さな緑の四角で示されたものが、今回発見されたX線源だ。温度は摂氏100万から400万度で、「準軟X線源(原文:quasisoft X-ray sources)」と呼ばれている(軟X線は低温で波長が長く、硬X線は高温で波長が短い)。このようなX線は、通常の中性子星や恒星質量ブラックホールからのX線(数千万度から1億度)よりも低温である。

数年前までは、専門家の知るブラックホールのサイズは2タイプに分かれていた。恒星質量ブラックホールと呼ばれるものは太陽の10倍程度の質量で、一方、超大質量ブラックホールと呼ばれる銀河の中心に見られるものは太陽の数百万から数十億倍の質量である。最近では、どうやらこれらの中間程度の質量を持つブラックホールもあるらしいと考えられている。

この新種のブラックホールから発せられるエネルギーは中性子星や恒星質量ブラックホールと同程度かそれ以上で、領域のサイズはそれらより10倍程度大きいようだ。このことから、この天体は標準的な中性子星か恒星質量のブラックホールで、周りのガスの広がりが通常よりも大きいものかもしれないという説が考えられている。別の説によれば、太陽より数十から数百倍の質量を持つ中間サイズのブラックホールかもしれないということだ。

準軟X線源は、M101以外にも、M83やM51、NGC 4697でも合計72個発見されている。今後も観測を続けて同クラスのX線源を発見すれば、その銀河のタイプやX線源の場所から、準軟X線源の性質に迫ることができるだろう。