宇宙からのバレンタインプレゼント:ばらの花束と巨大なダイヤモンド

【2004年2月14日 CfA Press Release (1) / (2)

バレンタインデーに合わせて、宇宙から2つのプレゼントが届けられた。ばらの花束のような美しい星雲と、炭素の結晶「ダイヤモンド」の核をもつ白色矮星だ。

<ばらの花束>

(NGC 7129の画像)

散光星雲NGC 7129。4つの異なる赤外線波長で観測し、擬似カラー合成している(提供:NASA/JPL-Caltech/T. Megeath (Harvard-Smithsonian CfA))

美しいばらの花束のように見える星雲NGC 7129を捉えたのは、NASAのスピッツァー赤外線宇宙望遠鏡だ。NGC 7129は、およそ3300光年かなたのケフェウス座にある。画像中の赤い部分は、炭化水素が豊富に存在している部分だ。また、緑の部分には、中心にある星からのジェットで熱せられた一酸化炭素が存在している。

この星雲では活発に星形成活動が行われており、星雲に含まれるガスやちりからは太陽のような恒星がたくさん生まれる。10光年ほどの大きさの星雲に約130個の若い星々が集まっているようすが観測されているが、そのうち半分の星の周りにはガスやちりの円盤が存在している。これらは、将来の惑星系形成へとつながっていくかもしれないということだ。


<巨大なダイヤモンド>

(白色矮星のイラスト)

ダイヤモンドの核を持つ白色矮星の想像図(提供:Travis Metcalfe and Ruth Bazinet, Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics.)

一方、銀河系で一番大きなダイヤモンドは、地球からおよそ50光年かなたのケンタウルス座で発見された。直径は4,000km、重さは10...0カラット(「0」の数は34個)に相当する。ちなみに地球で一番大きいものは、3,100カラットの原石からカットされた「アフリカの星」(530カラット)である。

この星の正体は白色矮星で、ダイヤモンドの構成元素である炭素でできた核の周りに水素とヘリウムの薄い層がある。星の振動のようすを調べることによって、内部に炭素の結晶があることがわかったのだ。これは、地震の波の伝わり方で地球内部のようすを研究する方法と同じことである。また、太陽でも同じような研究(日震学)で内部のようすを調べることができる。

太陽も、おそらく50億年ほど後には一生を終えて白色矮星になると考えられている。さらにそれから20億年後には、太陽系の中心にも巨大なダイヤモンドができているかもしれない。