子どもたちの提案による小惑星「きぼう」の誕生

【2004年1月30日 国立天文台・天文ニュース(698)

今月発表された国際天文学連合・小惑星回報第50462号にて、昨年度に申請された小惑星(14500) Kibo(きぼう)が正式に承認され、命名されたことが公表されました。

小惑星(14500) Kiboは、2003年の宇宙の日()にちなみ、東京・お台場の日本科学未来館で開催された「『宇宙の日』ふれあいフェスティバル2003」の会場において、事前に公募した小惑星の名前の候補の中から、子どもたちの拍手により選出されたものです。小惑星の名前の候補として、事前に292の案が寄せられましたが、これを実行委員会で5つに絞り込みました。そして、ふれあいフェスティバルの当日、若田宇宙飛行士のトークショーに来場した参加者に拍手をしてもらい、今回は全員一致で国際宇宙ステーションの日本の実験棟と同じ名前の「きぼう」を提案することが決まったのです。

この小惑星は、群馬県在住のアマチュア天文家・小林隆男(こばやしたかお)氏によって1995年11月に発見されたものです。こどもたちが宇宙への興味を持つきっかけになるよう、星に名前をつけるような取り組みができないか、という宇宙の日主催者会議の要望を受けての企画でしたが、小林氏に特別にご協力いただきました。命名提案権そのものは委譲できませんので、『宇宙の日』ふれあいフェスティバル2003で子どもたちが選んだ「きぼう」を、その経緯を添えて国際天文学連合に提案してもらったのです。

子どもたちによって命名された名前の小惑星は、2001年に大阪で選ばれた「たこやき」(天文ニュース 550)、2002年に島根で選ばれた「しじみ」(同 634)に次いで3番目となりました。

的川泰宣(まとかわやすのり)広報担当理事は、『「きぼう」は現在の日本人が一番持たなければならないものであり、同時に日本の宇宙進出の拠点である、国際宇宙ステーションの日本実験室の名前です。いい命名ですね。』と仰られています。

現在、この小惑星は、地球から約4億4千万キロメートルの距離にあり、へびつかい座で21等星で輝いています。望遠鏡でも直接見るのは難しい淡い星ですが、そこには子どもたちの宇宙への夢がきらきらと輝いているにちがいありません。

なお、事前に公募した小惑星の名前の候補の中で「江戸」も候補としてあがりましたが、既に小林氏が提案し、2003年11月に(9782) Edoとして小惑星回報第50250号に命名済みでした。

(注)宇宙の日:毛利衛(もうりまもる)宇宙飛行士が初めて宇宙を飛んだ日(9月12日)にちなんで制定されたものです。毎年、この日の前後に記念事業として、作文や絵画コンテスト、および宇宙ふれあいフェスティバルなどのイベントを行っています。文部科学省、宇宙開発事業団、宇宙科学研究所などの主催でしたが、2001年からは国立天文台も主催者に加わっています。「『宇宙の日』ふれあいフェスティバル2004」は9月に宮崎県で開催が予定されています。

<参照>

  • MPC50250 (Nov. 9, 2003).
  • MPC50462 (Jan. 7, 2004).

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