ハッブル宇宙望遠鏡が多波長で撮影した土星

【2003年9月17日 HubbleSite - NewsCenter

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した、さまざまな波長で見た土星の姿が公開された。

(土星の画像)

土星。上から紫外線、可視光、赤外線で撮影した画像(提供:NASA and E. Karkoschka (University of Arizona))

撮影は今年3月7日に行われたものだが、このとき土星の輪は地球に対して27度傾いており、土星の南半球がよく見える角度になっていた。土星の公転周期は約30年なので、およそ30年ごとに輪の傾きが(この角度で)最大となり、南半球の観測チャンスがめぐってくるということだ。逆の方向へ最大に傾いているときには、北半球が観測のチャンスということになる。

土星の撮影には30種類ものフィルターが使用され、紫外線から赤外線まで幅広い波長での観測が行われた。土星の大気に含まれる粒子の種類によって異なる波長の光が反射されるので、波長による見え方の違いは大気に含まれる粒子の性質や分布の違いを反映していると言える。多波長での見え方を総合的に解析することによって、土星の大気の組成や運動のようすを詳しく調べることができるのだ。

例えば、サイズの小さいエーロゾルからなる大気は紫外線の画像だけに見られるが、これは可視光や赤外線の波長の光はこの大気では散乱や吸収の影響を受けないためである。また、特定の可視光や赤外線の波長では、メタンガスによる光の吸収のために、土星の最上層の大気しか見えない。このような性質から、大気の高度ごとの違いを研究することもできる。さらに、過去の画像と比較して、土星の季節ごとの変化を調べることもできるということだ。

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