ハッブルの観測で新たなカイパーベルト天体が発見された

【2003年9月9日 HubbleSite - NewsCenter

ハッブル宇宙望遠鏡の観測で、海王星の軌道より外側を公転するカイパーベルト天体が3つ新たに発見された。しかし、たった3つしか見つからなかったことに研究者たちは困惑しているようである。

カイパーベルト(エッジワース・カイパーベルト)とは、海王星軌道の外側に広がるリング状の領域のことだ。1992年に初めてこの領域に天体が見つかって以来、約1000個のカイパーベルト天体が発見されている。また、冥王星とその衛星カロンもカイパーベルト天体だとする意見が大半である(そうだとすれば最初のカイパーベルト天体の発見は冥王星発見の1930年ということになる)。

この領域に存在する天体は氷や岩石からできており、45億年前に太陽系が形成された時の情報が残されていると考えられている。そのため、太陽系の起源を探る上で、この天体の研究はひじょうに重要なのだ。多くの彗星もカイパーベルトからやってくると考えられており、彗星の観測から太陽系の起源について調べる研究も進んでいる。

研究グループは今年1月から2月にかけておとめ座の方向を観測し、そのデータを6か月かけて解析して移動している天体を探した。こうして見つかった3つのカイパーベルト天体は直径が25〜45kmで、海王星より遠いところで見つかった最小の天体となった。また、明るさは29等級であった。

一方、研究グループは少なくとも60個ほどのカイパーベルト天体があると予想していたのだが、わずか3つしか見つからなかったことに大いに驚いている。太陽系や惑星の形成と進化に関する研究を進めるためには、さらにカイパーベルト天体を発見し観測する必要がありそうだ。これは、私たちの太陽系の問題だけではなく、太陽系外の惑星系に関する研究にも大きく貢献するだろう。