宇宙で一番大きな建設現場で作られる大質量銀河

【2003年5月29日 Chandra Photo Album

X線観測衛星チャンドラによる、ひじょうに遠方の大質量銀河の観測から得られた画像が公開された。銀河の周囲には、銀河から放射されたジェットによって数十万度にまで加熱された高温、高エネルギーのガスが広がっている。

(遠方の銀河4C41.17と3C294の画像)

銀河4C41.17(左)と3C294(右)。色はX線強度に応じて着けられている(提供:(左)NASA/CXC/Columbia/C.Scharf et al.、(右)NASA/CXC/IoA/A.Fabian et al.)

左の銀河4C41.17はぎょしゃ座に、右の銀河3C294はうしかい座にあり、距離はそれぞれ120億光年と100億光年と推定されている。両方とも銀河が密集したところに位置しており、周囲には多くの銀河やガス、暗黒物質が存在している。研究グループによれば、これらの銀河を調べることで、銀河の質量の限界についての手がかりが得られそうだということだ。

巨大な銀河やその中心に存在すると考えられているブラックホールは、他の銀河との相互作用や周囲のガスを取り込んで質量を増加させていく。しかし、ブラックホールから放射される高エネルギーのジェットによって加熱されたガスは、エネルギーが高くなり重力を振り切ってしまうため、ある時点でそれ以上銀河に取り込まれなくなってしまう。この時の銀河の質量が理論的に最大となるわけだが、私たちの天の川銀河系のおよそ数十倍程度だと考えられている。

また、大質量の銀河は一定の割合で質量を増加させているわけではなく、間欠的に質量の増加があるということもわかる。質量が増えることによって中心のブラックホールの活動が活発になり、ジェットで加熱されたガスが取り込まれなくなるので質量が増えなくなる。すると今後は、活動源となるガスがなくなったブラックホールの活動がおさまり、ジェットが消えてガスが冷えるため、再び銀河に取り込まれるようになる、というわけだ。

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