HSTが捉えた、虹色に輝く「卵星雲」

【2003年4月14日 HubbleSite - NewsCenter

ハッブル宇宙望遠鏡が昨年秋に撮影した、「卵星雲」という名前で知られる惑星状星雲CRL2688のカラフルな画像が公開された。

(卵星雲の画像)

卵星雲。角度を変えた3枚の偏光フィルターで撮影した画像を合成(提供:NASA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA)、謝辞:W. Sparks (STScI) and R. Sahai (JPL))

卵星雲は地球から約3000光年離れた「はくちょう座」の方向にある天体で、同心円状の構造と両側に2本ずつ伸びる光線が印象的だ。同心円状に見えているのは恒星から放出されたチリが層状になっているもので、中心の星から0.1光年以上にわたって広がっている。また、同心円の真ん中を上下に横切っている帯はチリがさらに濃く分布している部分で、中心星の存在を隠している。

画像が色鮮やかに見えているのは、角度の異なる3枚の偏光フィルターで撮影した画像を合成したためである。光は粒子に当たって反射する際にある特定の方向に振動する(偏光する)ようになるので、その角度の光だけを通すような偏光フィルターを使うことで、星雲の異なる部分を撮影できるというわけだ。

星雲からやってくる偏光した光を観測することで、光を分散、反射している物体の性質や、星雲の中心星について多くのことがわかる。チリの大部分は恒星内部の核融合で作られた炭素で、将来別の星や惑星を作る元になるのだろう。

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