激しい勢いで蒸発しつつある系外惑星が発見された

【2003年3月17日 HubbleSite - NewsCenter

ハッブル宇宙望遠鏡による観測から、激しい勢いで大気を失って蒸発しつつある太陽系外の惑星が発見された。蒸発した水素ガスは惑星の公転軌道に沿って伸びており、まるで彗星のような姿をしているのではないかと想像されている。最終的には高密度の核の部分だけが残り、ほとんどの質量は失われてしまうと考えられている。

この惑星系は地球から150光年離れたペガスス座の方向にある。惑星はHD209458bという番号で呼ばれているが、木星と比べて大きさは1.3倍ほど、質量は3分の2程度だと見積もられている。そして、主星からわずか700万kmしか離れていないところを3.5日で公転しているが、この距離は太陽から水星までの距離の8分の1しかない。

このように主星にあまりにも近いところを公転しているため、惑星の大気が熱せられ、惑星の重力を振り切ってどんどん蒸発していく。概算によれば1秒あたり1万トン以上という猛烈な勢いで水素ガスが蒸発し続けているようだ。蒸発したガスは惑星の公転軌道に沿って彗星の尾のように伸びており、その長さは20万kmにも達する。

HD209458bは、1999年、主星の前を通過して主星の光が一部遮られたことによって発見された初の惑星であり、2001年にハッブルの観測によって大気が存在することが明らかになった初の惑星でもある。今回はその大気が激しい勢いで蒸発していることが明らかになったのだが、このような現象が見つかったのも初めてのことで、HD209458bは3度目の「初めて」を手に入れたというわけだ。

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