太陽から12光年も離れていないところに褐色矮星が見つかった

【2003年1月24日 ESO Press Release

ヨーロッパの研究グループが、太陽から11.8光年離れたところに褐色矮星を発見した。これは現在見つかっているものの中ではもっとも近くにある褐色矮星だ。

(インディアン座ε連星系の写真)

インディアン座ε星。左にある丸で囲まれた天体が褐色矮星(提供:ESO

褐色矮星が見つかったのは南天のインディアン座で、インディアン座ε星の伴星として見つかった。インディアン座ε星は太陽から近い恒星リストの20番目以内にある近傍の星である。最初は連星系だとはわかっていなかったが、固有運動のようすが同じであったために連星であるとわかったのだ。主星と連星の間は太陽と地球の距離の1,500倍も離れている。

伴星のスペクトルを観測して温度を推定したところ、ほんの1000度ほどしかないことがわかった。このような情報を元にして伴星の質量を計算すると、太陽のおよそ4.5%(あるいは木星の45倍)と求められた。質量や温度から、この伴星は褐色矮星であろうと考えられている。褐色矮星は、核融合反応で燃えて輝くには質量の足りない天体で、木星のような巨大惑星と恒星の中間的な天体とされている。

わずか12光年しか離れていないところに褐色矮星が見つかったので、今後この天体はさまざまな角度から詳しく観測されるはずだ。それによって、褐色矮星の内部のようすや化学組成、形成や進化の過程が明らかになっていくだろう。太陽の近くには他にも多くの褐色矮星があると考えられているが、このインディアン座ε星伴星の研究はそういった褐色矮星の研究の第一歩となるだろう。

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