直径9万光年にも達する巨大な高温ガスのディスク

【2003年1月8日 Chandra Photo Album

X線衛星チャンドラの観測により、直径が9万光年にも達する巨大な高温ガスのディスクが銀河の周りに発見された。

(NGC1700の周りのガスの画像)

NGC1700の周りの高温ガス。青は低エネルギーに、赤は高エネルギーに対応(提供:Credit: NASA / Ohio U. / T.Statler et al.)

ガスのディスク(円盤)が発見されたのは、地球から1億6000万光年離れたエリダヌス座にある銀河NGC1700である。このガス円盤は温度が800万度、直径が9万光年もあって、同じような種類の天体の典型的な大きさに比べて10万倍も大きい。

さらに驚いたことに、このディスクは銀河に対して回転していることも観測された。NGC1700のような楕円銀河は2つの渦巻き銀河が合体してできあがるというのが現在のところもっとも支持されている説だが、発見された巨大な高温ディスクはこの説に合致しない。研究者たちは、楕円銀河と渦巻き銀河がゆるやかに衝突した結果このような巨大で高温のディスクができたのだろうと考えている。

ガスのディスクの回転は銀河の質量の推定にも影響を与える。一般的にはガスの圧力と重力が釣り合っていると考えて銀河の質量を見積もるのだが、ガスが回転しているために、釣り合っているという仮定が単純には成り立たなくなってしまうのだ。研究者たちは、他の銀河にも似たような兆候が見られないかどうか、データを見直しているとのことである。

<参照>

<関連リンク>