観測しにくい「暗い」ガンマ線バーストの初観測に成功

【2002年12月27日 Goddard Space Flight Center

発生からわずか1分後のガンマ線バーストを地上から撮影することに成功し、その写真が公開された。

(ガンマ線バーストの1分後の写真と9分後の写真)

ガンマ線バーストGRB021211。左は発生から約1分後、右は9分後の写真。9分後にはすでに暗くなっていることがわかる(提供:P. Wozniak, W.T. Vestrand, et al., RAPTOR Project, LANL)

今月11日に発生したガンマ線バーストGRB021211(距離は60億光年)は、まずNASAの衛星HETEによって検出され、22秒後には世界中の望遠鏡に情報を送った。HETEはこのような高エネルギー現象の発生を検出して世界中に速報することを目的とした衛星である。

アメリカ・ニューメキシコ州にあるRAPTOR望遠鏡がもっとも早くこれに反応し、現象発生からわずか65秒後には最初の観測を行なったのだ。同じ望遠鏡が現象発生から9分後に観測したときにはもう暗くなってしまっていたことからも、その早さの重要性がわかるだろう。このように急速に暗くなってしまうタイプの「暗い」ガンマ線バーストがこれほど早く観測されたのは初めてのことである。

ガンマ線バーストはひじょうに高エネルギーの天文現象で、重い恒星の爆発や中性子連星の合体などで起こると考えられている。前者はバースト現象が4秒以上続くが、後者は2秒以下である。また、どちらのタイプでも、その跡には新しいブラックホールができると考えられている。