工藤さん、新彗星を発見

【2002年12月16日 国立天文台天文ニュース(605)

熊本県菊池郡西合志町の工藤哲生(くどうてつお)さんが新彗星を発見しました。

(C/2002 X5彗星の写真)

C/2002 X5彗星。2002年12月14.861日(世界時)撮影。右上に向かって尾が伸びているのが見える。クリックで拡大(撮影:アストロアーツ 門田健一)

12月14日午前5時頃、口径12センチメートル倍率20倍の双眼鏡で、うしかい座に9.5等級の新彗星を肉眼観測で発見しました。コマの見た目の直径は2分角。中央に集光した部分はあるが、尾は認められなかったそうです。

工藤さんは翌15日朝にも観測しました。また埼玉県上尾市の門田健一(かどたけんいち)さん、山梨県八ヶ岳南麓天文台の串田(くしだ)夫妻によって確認されました。この内容は兵庫県洲本市の中野主一(なかのしゅいち)さんを通じて国際天文学連合へ報告されました。

この新彗星には2002 X5の認識符号が与えられました。

発見後いくらも時間が経っていないので、日心軌道はまだ求められていません。このあと「工藤彗星(Kudou)」の通称になる見込みが大きいと思われます。

発見観測と確認観測の一部は以下のとおり。

UTR.A.Decl.m1Observer
2002 Dec.(2000)
13.83315 44+45 309.5Kudo
14.78315 52+44 579.5Kudo
14.8614615 53 07.63+44 52 43.39.6Kadota
14.8630215 53 08.48+44 52 39.97.5Kushida

工藤さんは天体写真のベテランで、天文雑誌などにもよく作品が載っていました。工藤さんの知り合いの人の話では「写真じゃ面白くない。やっぱり探してみたい」ということで、捜索を始められたのは、2〜3年前であったということです。

<アストロアーツによる追加情報>

MPEC 2002-X84で発表された暫定の軌道要素は以下のとおり(ただし標準光度と光度係数は発表された予報を再現するように設定、角度に関する要素は2000.0年分点)。

C/2002 X5彗星の軌道要素(観測数:24)
近日点通過(T)2003年1月24.970日
近日点距離(q)0.10670 AU
離心率(e)1.0
近日点引数(ω)199.570°
昇交点黄経(Ω)126.850°
軌道傾斜角(i)100.815°
標準光度(H)6.5等
光度係数(K)10.0

上記の軌道要素から求めた位置推算表は以下のとおり(日本時間0時、位置は2000.0年分点)。

C/2002 X5彗星の位置推算表
日時赤経赤緯等級
2002/12/1215h26m41.7s+46°25'55"7.9
2002/12/1415h42m54.4s+45°31'36"7.7
2002/12/1615h59m28.8s+44°26'27"7.4
2002/12/1816h16m18.3s+43°09'28"7.2
2002/12/2016h33m15.8s+41°39'49"7.0
2002/12/2216h50m13.7s+39°56'54"6.8
2002/12/2417h07m04.1s+38°00'22"6.5
2002/12/2617h23m39.7s+35°50'12"6.3
2002/12/2817h39m53.7s+33°26'44"6.0
2002/12/3017h55m40.4s+30°50'38"5.8
2003/ 1/ 118h10m55.1s+28°02'53"5.5
2003/ 1/ 318h25m34.3s+25°04'40"5.2
2003/ 1/ 518h39m35.5s+21°57'18"4.9
2003/ 1/ 718h52m57.6s+18°42'03"4.6
2003/ 1/ 919h05m40.1s+15°20'00"4.3
2003/ 1/1119h17m43.7s+11°51'51"3.9