プロキシマ・ケンタウリの大きさが正確に測定された

【2002年12月11日 ESO Press Release

プロキシマ・ケンタウリ(ケンタウルス座プロキシマ、アルファ・ケンタウリの伴星)は、地球から4.2光年の距離にあって太陽系からもっとも近い恒星として有名だ。この星は質量も大きさも小さいことが知られていたが、ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLTを用いた観測により、大きさが高い精度で測定された。

(HR図)

HR図。横軸は温度(右が低温)、縦軸は明るさ(上ほど明るい)。中央やや右の点が太陽で、右下の囲まれた領域がM型矮星にあたる(提供:ESO

プロキシマ・ケンタウリ(以下、プロキシマ)は「晩期M型矮星」と呼ばれるタイプの恒星で、さまざまな恒星のタイプの中でもっとも小さく暗い分類にあたるが、銀河系の中で一番多く存在しているとされる。恒星の温度と明るさの関係を示すHR図上では、M型矮星は右下に位置するが、この位置は水素の核融合反応によって輝いている「主系列星」の暗い側(小さい側)の端にあたる。

プロキシマやそれより軽い恒星の内部では、物質は「縮退」という特殊な状態になっていると考えられている。この状態では恒星の大きさと質量は単純な比例関係になるわけではない。プロキシマは太陽に比べて質量、半径とも1/7で、木星に比べると質量は150倍も重いのに大きさは1.5倍にしかすぎない。このように、大きさや質量が普通の恒星や褐色矮星、巨大惑星の中間に位置するので、プロキシマのような恒星はひじょうに興味深い研究対象となっているのだ。

測定されたプロキシマの大きさ(視直径)は1.02±0.08ミリ秒であった。これは、月面にいる宇宙飛行士を地上から見るのと同じくらいの大きさで、VLTVLTI(VLT干渉計)、最新の解析手法を組み合わせて初めて正確に測定できたということである。研究者たちは今後、赤外線干渉計や他の望遠鏡、補償光学装置を使い、主星のすぐ近くを公転するような系外惑星を直接地上から検出しようと意気込んでいる。

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