活動銀河核を持つ古い銀河は意外と多いようだ

【2002年9月17日 Chandra Photo Album

NASAのX線観測衛星チャンドラで約20億光年かなたの銀河団 Abell 2104を観測したところ、活動銀河核と思われるX線源が6つも見つかった。

(銀河団 Abell 2104のX線と可視光の合成画像)

銀河団 Abell 2104のX線と可視光の合成画像。活動銀河核(黄色の数字)が6つ写っている(提供:X線:NASA / CXC / P.Martini et al.、可視光:Carnegie Obs. / W.Baade Telescope)

活動銀河核とは、銀河の中心にあると考えられている超巨大ブラックホールに周囲からガスが流れ込んで加熱され光って見える天体である。核の周囲にあるガスやチリのために可視光などでは見ることができないが、温度が高く、高エネルギーなのでX線で観測することができる。

中心のブラックホールにガスが流れ込むことによって活動銀河核が光っているということは、逆にいえばガスがなければ光らないということだ。活動銀河核が見つかるような銀河の多くは、ガスを豊富に含んでいる若い銀河である。一方、銀河団の中にある年老いた銀河の場合、銀河団の中を高速で移動しているうちにガスをはぎ取られたり、あるいは銀河同士の相互作用によってガスを失ったりするので、活動銀河核として光るほどのガスが残らないと考えられてきた。今回、銀河団中に6つも活動銀河核が見つかったのは大きな驚きなのである。ちなみに、可視光による観測ではこの銀河団には1個しか見つかっていなかった。チャンドラの観測能力の高さが見事に活かされた。

銀河は歳をとっても、従来考えられていたよりもガスをしっかりと残しているのかもしれない。特に中心核に近いところではたくさん残っているのだろう。銀河団の中にたくさんの活動銀河核が見つかったことで、銀河団中の銀河で起こっている星形成に関する見積もりにも修正が必要になるかもしれない。今後、他の銀河団も同様に観測していく予定だということだ。