鈴木さんが発見した新彗星が明るい
池谷・張彗星が周期彗星に

【2002年8月8日 国立天文台天文ニュース(573)

鈴木さんが発見した新彗星が明るい

栃木県宇都宮市の鈴木雅之(すずきまさゆき)さんがSOHO衛星のSWAN観測機の画像から発見した新彗星(COMET 2002 O6; 天文ニュース 572)ですが、まだ正式な名称は公表されていません。

国際天文学連合回報(International Astronomical Union Circulars; IAUC)7948 によると、この彗星の暫定的な放物線軌道要素と位置の予報が発表されています。

現在はオリオン座の左肩の付近にいて、今後はふたご座を通りやまねこ座へ抜けるようで、日の出前の東の空低くに見られます。

(アストロアーツによる追加情報)

オリジナルのニュースではIAUC 7948の軌道要素と位置推算表が掲載されていましたが、その後MPEC 2002-P28でより新しい軌道要素が発表されたので、そちらを掲載します(星図上の位置は大きくは変わらないので5日のニュースを参照してください)。また、原田泰典さんから写真をお送りいただいたので、あわせて紹介します。

(原田泰典氏撮影のC/2002 O6彗星)

原田泰典氏撮影のC/2002 O6彗星。8月6日撮影(白円はアストロアーツによる)。クリックで拡大

(原田泰典さんの写真のデータ)

撮影日時:2002年8月6日 3時10分、露出30秒
撮影地:静岡県浜松市
キヤノン EOS630 EF50mm F1.8→2.0、フジカラーズームマスター800

●撮影者コメント:「C/2002 O6」を撮影しました。固定撮影で写ります。出張先の浜松で情報に接し、手持ちの機材で確認したところ,10×42双眼鏡で比較的簡単に確認できました。写真も、標準レンズによる固定撮影で「彗星色」に写せました。情報提供いただきました浜松スペースハンタークラブの村井様に感謝いたします。黒の十字線の交点付近に写っています。撮影中、ペルセ群と思われる流星が結構見えました。今から既に活発な様子ですので、極大に向けて、この彗星共々、今後楽しみです。

(門田健一撮影のC/2002 O6彗星)

アストロアーツ 門田健一撮影のC/2002 O6彗星。8月7.782日(世界時)撮影。クリックで拡大

(C/2002 O6の軌道要素)

近日点通過(T)2002年9月9.418日
近日点距離(q)0.49469 AU
離心率(e)1.0
近日点引数(ω)78.699°
昇交点黄経(Ω)330.964°
軌道傾斜角(i)58.646°

(C/2002 O6の位置推算表)

月日赤経赤緯等級
8/9 05h38m44.4s+11°09'18"6.5
8/1106h16m00.4s+19°11'13"6.4
8/1306h54m32.2s+26°12'25"6.3
8/1507h32m14.4s+31°41'23"6.3
8/1708h07m13.9s+35°35'00"6.3
8/1908h38m19.1s+38°07'56"6.4
8/2109h05m05.0s+39°39'37"6.4
8/2309h27m40.6s+40°27'05"6.5
8/2509h46m32.9s+40°43'01"6.5
8/2710h02m14.4s+40°36'00"6.5
8/2910h15m16.8s+40°11'40"6.5
8/3110h26m08.3s+39°33'36"6.6

池谷・張彗星が周期彗星に

2月に発見された池谷・張彗星(天文ニュース 572)がその後の観測から周期彗星として登録されました。小惑星電子回報(Minor Planet Electronic Circulars; MPEC)2002-O18 に掲載され、公式に「153P/Ikeya-Zhang」となりました。番号登録された彗星の中ではもっとも周期の長い彗星(約371年)で、200年以上の周期を持つ唯一の彗星です。

<参照>

C/2002 O6関連

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<関連リンク>

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<関連ニュース>

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