衝突の初期段階にある銀河 Arp 270

【2002年5月8日 Chandra Photo Album

NASAのX線観測衛星チャンドラが撮影した、衝突の初期段階にある2つの銀河 Arp 270の画像が公開された。

(Arp 270の画像)

チャンドラのASICカメラで撮影したArp 270。赤は低温(低エネルギー)で、緑、青と高温(高エネルギー)になっていく(提供:NASA / U. Birmingham / A. Read)

Arp 270は「こじし座」にあり、地球からの距離はおよそ9000万光年である。お互いの重力の影響で銀河の形が変形したり、ガスのかたまりが衝突して新しい星の形成を引き起こしたりすると考えられている。

画像中、青い点のところ(中央やや左)は、新しく作られた大質量の星がある場所だ。これらの星からは強烈な恒星風が吹き出している。また、この星々は最終的には超新星となって爆発してしまうが、その爆発の際に放射された高温のガスが銀河の円盤を取り囲んでいる。画像中の赤いところがそのガスの存在を表している。

研究者たちは、銀河が合体していくさまざまな段階を観測し研究することで、銀河の中心に存在する超巨大ブラックホールがどのように形成されるのかという問題をもっとよく理解できるようになるだろうと期待している。さらに、我々の天の川銀河系がどのようにして作られ進化してきたのかということを研究する上でも、有用な手がかりを与えてくれれるだろう。