VLT による馬頭星雲の鮮明な画像

【2002 年 1 月 29 日 ESO Press Photos

ESO(ヨーロッパ南天天文台)パラナル観測所の 8.2m VLT(The Very Large Telescope)望遠鏡を使って撮影された馬頭星雲の画像が公開された。

(VLT で撮影した馬頭星雲の画像)

VLT が撮影した馬頭星雲 IC 434 の画像。B、V、R の各波長で撮影されたものを合成。左が北、下が東(画像提供:ESO)

馬頭星雲はオリオン座にある暗黒星雲で、地球からの距離は約 1400 光年である。HII 領域(電離水素領域)IC 434 の端に位置するバーナード 33 というのが、馬頭星雲の正式な名称だ。

撮影は 2000 年 2 月に KUEYEN 望遠鏡(VLT として 2 台目の望遠鏡)に FORS2 カメラを取り付けておこなわれた。このカメラは 7 分角四方を撮影できる広角カメラで、検出器の解像度は 1 ピクセルあたり 0.2 秒である。広角・高解像度の特徴が、馬頭星雲の観測にうまく活かされている。

この画像は 3 色のフィルターで別々に撮影されたものを合成したものだ。青色は B バンド(429nm)、緑色は V バンド(554nm)、そして赤色は R バンド(655nm)に、それぞれ対応している。画像中、赤いところは HII 領域にある水素(H-α)からの光を、茶色のところは 手前にある不透明なチリを、青から緑のところは星の光を反射したものを、それぞれ見ている。

馬の頭の上部で光っている線は、チリと HII 領域を分ける「電離波面」と呼ばれる部分だ。HII 領域の電離光子がチリの雲の中へと進んでいってチリや分子を破壊し、ガスを温め電離している。このような伸びた構造は(馬頭星雲にあっても)「象の鼻」と呼ばれ、他にはわし星雲 M16 のものなどが有名だ。電離ガス領域が拡大するにつれてどんどん侵食されていき、数千年くらいで壊れてしまう。

<参照>

<関連リンク>

<関連ニュース>