太陽 X 線観測衛星「ようこう」、観測を中断

【2001年12月19日 宇宙科学研究所

文部科学省宇宙科学研究所の太陽 X 線観測衛星「ようこう」が観測を中断した。今月 15 日に南半球で起きた金環食と関連があると見られている。

(「ようこう」と「ようこう」が観測した太陽との合成画像)

太陽 X 線観測衛星「ようこう」と「ようこう」が観測した変動する太陽の軟 X 線連続画像との合成画像(画像提供:宇宙科学研究所)

宇宙科学研究所の発表によると、15 日の午後 3 時 50 分に「ようこう」衛星の観測機器の電源が遮断され観測を中断しているのが鹿児島宇宙空間観測所の衛星運用者によって発見されたとのこと。調査の結果、午前 8 時頃より電圧不足状態に陥り、そのためすべての観測機器の電源が省電力のために遮断されたことがわかった。電圧不足になった原因は、15 日午前 7 時頃に南半球で見られた金環日食帯の中心を「ようこう」が通過する際に衛星が予期しない回転を始めてしまい、そのために太陽電池に安定した太陽光が当たらなくなって十分な電圧を発生させられなくなったことだと考えられている。

宇宙科学研究所では数回に渡ってコマンドを発信し、電圧低下を防ぐ措置はとったものの、18 日の段階では依然として衛星の回転は抑えられていない。現在も正常な状態に戻すための作業が続けられているが、観測再開までにはかなりの期間がかかる見込みだ。

「ようこう」は 1991 年 8 月 30 日に打ち上げられ,これまで 10 年 3 ヶ月の長期間にわたって太陽大気(コロナ)やそこで起こる太陽フレアの観測を連続しておこなってきた。X 線望遠鏡など 4 種類の装置で観測された太陽のデータは太陽の研究に関して国際的に大きな役割を果たしてきた。また、地球周辺の「宇宙気象」(磁気嵐など)に関する太陽活動の最適なモニターデータの 1 つとして世界中で毎日ほぼリアルタイムで活用されてきた。一日も早い復旧が望まれる。

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