【速報】2001年のしし座流星群の出現について

【2001年11月19日 国立天文台天文ニュース (496)

今年の、「しし座流星群」はこれまでのように考えると、母彗星であるテンペル・タットル彗星 (55P/Tempel-Tuttle) が近日点を通過して3年以上が過ぎたこともあり、期待を持って出現を望むのは難しいと考えられていました (天文ニュース471参照)。

しかし、大方の予想は外れ、思いもよらない数の流星が出現しました。以下に、幾つかの出現のレポートを紹介、速報としたいと思います。

  • 米国アリゾナ州では,11月18日11時(世界時,日本時間で18日20時)に、1時間あたりに換算して2600個の出現が観測された。
    NASA Leonis Live, 2001 より)
  • 米国ハワイ州の国立天文台ハワイ観測所すばる望遠鏡サイトでも、同時刻(日本時間20時)に1時間で約300個のしし座流星群が観測された。明るい流星が多いという特長を示していた。
    NASAしし座流星群国際航空機観測ミッション [略称:Leonid MAC] 2001日本チームより)
  • 日本では,しし群の放射点が地平線上に現れた,19日0時(日本時間)頃から、明るい流星が出現し、2時台には1時間に2000個を大幅に超える流星が各地で観測された。さらに、3時台にはそれを上回る大出現で、1時間に数千個を超えると思われる、まさに、雨のように流星が流れる「流星雨」が観測されている。
    (国立天文台観測チームより)

今回は、地球がテンペル・タットル彗星のダスト・トレールと遭遇することにより、沢山の流星が流れるという、マクノート博士やアッシャー博士らの理論に、ほぼ近い出現をしたと言えるでしょう。

さらに詳しい結果や数値は、今後の解析を待って発表されるでしょう。


極大の5分間

極大の5分間

19日午前3時過ぎの出現数のピークには、わずか5分の露光でこんなにもたくさんの流星が写った。放射点を中心に流星が飛び出すようすがはっきりとわかる。(画像クリックで拡大)

2001年11月19日 午前3:10〜1分露光×5枚コンポジット
撮影者/田中 一幸氏 撮影地/山梨県須玉
撮影機材/オリンパスE-20デジタルカメラ (試作機)、広角にてF2.0開放 (視野角は35mm判カメラの35mmに相当)


永続痕

永続痕

今回はとにかく明るい流星が多く、永続痕が多数出現した。野田氏は残念ながら雲の多い中での観測であったということだが、一晩中快晴だった場所では、継続時間30秒程度以上の永続痕が数十個も見られたようだ。(画像クリックで拡大)

2001年11月19日 午前3時38分〜1分間露光
撮影者/野田 司
撮影機材/カシオQV-3000EXデジタルカメラ (ISO500相当設定)、固定撮影
ステライメージ3で画像処理


しし座流星雨

しし座流星雨

ピークを過ぎた後も流星の数は高いレベルを維持し続けた。午前4時過ぎにはしし座は天高く昇り、そこから下界に向けて次々に流星が流れるという、まさに言葉通りの流星雨となった。この後、朝焼けの中でも流星は元気に飛び交っていた。

2001年11月19 日午前4時16分〜2分間露光
撮影者/田子 周作(アストロアーツ) 撮影地/八ヶ岳山麗
撮影機材/キヤノンEOS Kissカメラ、キヤノンEF35mmF2.0レンズ→F2.5に絞る、タカハシEM-1赤道儀によりガイド、フジ・スペリア1600フィルム


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