「ステライメージ 3」が ver 3.1 にバージョンアップ!
アップデータを無償公開

【2001年11月1日 アストロアーツ

天体画像処理ソフトのスタンダードといえる「ステライメージ 3」がバージョンアップし、ver 3.1 へのアップデータが 10 月 31 日より無償公開された。

M8 の撮像画像(1 枚目) M8 の撮像画像(2 枚目)

撮像されたまま未処理の画像
「コンポジット」→「NBR」で合成

NBR 合成した M8 の画像

NBR 合成したあとの画像
「デジタル現像」でハイライトを調整

デジタル現像後の M8 の画像

デジタル現像したあとの画像
(画像提供:元木基嗣さん、ST-10E にて撮影。なお、カラーの完成品は元木氏のウェブサイトでご覧になれる)

今回のバージョンアップの最大の特徴は、「ノンブルーミング回転合成法」に対応したことだ。ブルーミングとは、冷却 CCD カメラで天体を撮像した時に、輝星から線を引いたように写る現象だ。これを防ぐ機構(アンチブルーミングゲート、以下 ABG)を備えた冷却 CCD カメラもあるが、感度が約半分になってしまうという欠点があり、冷却 CCD カメラの購入の時に多いに悩むポイントでもあった。

この「ノンブルーミング回転合成法」は、ABG 無しのカメラでブルーミングの無い画像を得るための技法で、CAN(CCD アストロノミーネットワーク)のメンバーである宇都正明氏と岡野邦彦氏によって提案されたもの。ブルーミングがカメラに対して一定の方向に発生することを利用し、カメラを 90 度回転させて同じ対象を 2 枚撮像し、それぞれの画像のブルーミング部分を補完することでブルーミングのない画像を作るものだ。

ステライメージ 3 の従来のバージョンでも、コンポジット合成のオプションを使うことで「ノンブルーミング回転合成法」を行なうことができたが、2 枚の画像のレベルの調整や、ブルーミング周囲に発生するダークバンドの処理など手間のかかる前処理が必要であった。今回のバージョンアップは、同じく CAN の岡野氏と元木基嗣氏の協力の元に開発されたもので、これらの作業をすべて一括して行なえるようにしたものである。

これで AGB なしの冷却 CCD カメラのユーザーでも、輝星のせいでブルーミングを起こしてしまう M8(干潟星雲)のような天体もきれいな画像を撮像することが可能となる。

ステライメージ 3 用「3.1 アップデータ」のダウンロードは「ステライメージ 3」のページより可能。なお、詳しい情報や作例は星ナビ 2002 年 2 月号に掲載予定。

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