明け方の東の空で、水星と金星が接近中!

【2001年10月31日 アストロアーツ

夜明け前の東の空で水星と金星が大接近中だ。水星は、地動説で有名なコペルニクスでさえ生涯見ることができなかったという逸話が残っているほど見ることが難しいとされている惑星。理由としては以下のようなことが挙げられる。

  1. 明け方の東空か夕方の西空の低空に現れるだけなので、なかなか見るチャンスがない
  2. その低空はモヤなどのために透明度が悪くてさらに見づらい
  3. 最大離角のころの水星は 0 等級とはいえ、朝焼け空や夕焼け空の中ではなかなか見つからない

 

水星と金星の接近の様子の図

10 月 30 日に西方最大離角を迎えた水星は、この前後金星と大接近。水星を見つけるまたとないチャンスだ

この水星を見るまたとないチャンスが訪れている。10 月 30 日に水星は西方最大離角(地球から見て太陽の西側に最も離れた状態)となった。日の出の時の水星の高度は 17 度で、これは明け方に見える水星としては今年最高の高度。また、冬を前に透明度もよくなってきている。

これらの好条件に加えて、現在水星のすぐそばに目印となる金星があるのだ。金星の光度は -3.9 等級で非常に明るく、朝焼け空の中でも見逃す心配はない。その金星に寄り添うように水星を見つけることができるはずだ。詳しくは図を見てほしい。

観察は、東南東の方向が開けたところでおこなうのがベスト。日の出 30 分ほど前に東南東の空、高度 10 度あたりを探してみよう。もしも肉眼で見つけられなければ双眼鏡で見てみよう。同じ視野内で輝く水星と金星がきっと見つかるはずだ。

この大接近が見られるのは11月初旬がチャンス。以降は両惑星の間隔がだんだんと広がっていってしまい、地平高度も低くなってしまうため、水星を見つけるのが難しくなってしまう。11 月 1 日の東京の日の出は 6:02、その 30 分前となるとかなりの早起きになるが、早起きして見る価値のある水星と金星の大接近、ぜひ自分の目で見ていただきたい。金星と水星の間隔は、もっとも接近した 10 月 30 日朝で約 35 分角、11 月 4 日朝でも約 40 分角と、双眼鏡はもちろん、低倍率の望遠鏡の視野にも充分入る角度だ。

なお、大阪府の河村俊一さんからこの接近の様子をとらえた写真を送っていただいたので紹介しよう。

水星と金星の接近(固定撮影) 水星と金星の接近(追尾撮影)

水星と金星の接近。(左)固定撮影 (右)追尾撮影。クリックでそれぞれの拡大写真(写真提供:川村俊一さん)

タイトル:金星と水星の接近
撮影日時:2001 年 10 月 30 日 05:34:12(固定)、05:44:45(追尾)
撮影者:河村俊一 撮影地:大阪府狭山市
撮影機材:固定撮影:ニコン COOLPIX995 露出 8 秒 ズームは望遠側(31mm F5.1)。
追尾撮影:ペンタックス製 7.5cm EDHF 屈折 + XL 28mm + ニコン COOLPIX995 露出 1 秒 ズームは中間(18.9mm F3.8)電動追尾。ステライメージ 3 を使用。

●撮影者コメント:朝 5 時、東の葛城山の方向を見ると、金星が出たところで、天気は素晴らしい快晴である。さっそくカメラの液晶モニターで見てみると、そばに水星が寄り添っているのが見えた。この種の現象を一生懸命見るのは初めてである。やはり面白い。だんだん明るくなる薄明と競争しながら、山と惑星が入るように撮影した。二惑星は 0.6 度にまで近づく、とのことだったので、望遠鏡の同一視野に見えるはずだと思い、覗いてみた。ペンタの視野だと二つが余裕を持って視野内に見えた。そばに星(おとめ座 θ 星)が見え、金星、水星とで三角形を作っていたのが印象的。

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