火星着陸機バイキングの実験データに生命活動の兆候!?

【2001年7月31日 SPACEFLIGHT NOW / University of Southern California News Release (2001.07.28)

南カリフォルニア大学のJoseph Miller氏 (細胞・神経生物学部助教授) は、1976年に火星に着陸した2機のバイキング探査機の実験データから、生命活動の兆候を発見したと発表した。国際光工学会第46回年次総会の宇宙生物学シンポジウムにて発表した。

バイキング探査機は、火星に生命が存在するかどうかを確かめるため、火星表土のサンプルを採取し、それに養分と水分――トレーサーとして炭素の放射性同位体を含む――を加える生物実験を行なった。もし生命が存在すれば、加えた養分を摂取し、放射性炭素を含むガスを排出するはずであり、実験装置にはそのガスを検出するための放射能検出器が搭載されていた。

実験の結果、ガスは検出され、生命活動の兆候の発見が考えられた。だが結局はそれは火星の表土――超酸化物、過酸化物を含む――との化学反応の結果に過ぎず、生命の兆候は否定的であるというのが通説となっていた。

Miller氏は、実験データの再分析の結果、実験中に検出されたガス濃度が、火星の1日にぴったり一致する周期で変化していることをつきとめた。そして、地球の微生物も1日ちょうどを周期とする活動のリズムを持つため、バイキングの実験データに見られるリズムも、生命活動が原因である可能性が最も高いと主張している。

だだ、Miller氏の主張に疑問を持つ科学者も少なくなく、このリズムは探査機の温度変化や気圧の変化など、他のさまざまな要素によっても説明し得ると考えている者もいる。

しかしMiller氏によると、純粋な化学反応でこのリズムの存在を説明することは不可能だという。その理由の一つは、化学反応の原因となる火星の表土の超酸化物は、水にさらされると急速に破壊されてしまうためだという。これに対し、Miller氏の発見したリズムは少なくとも9週間も持続している。また、実験装置内の1日の温度変化はセ氏2度程度に過ぎず、これが原因で化学反応のリズムが生じることも考えられないという。

「1976年のことを思い返すと、バイキングの研究者たちには、生命の兆候を発見したと主張する十分な根拠があったんです。75%ぐらいの信頼性でね。そして今回の発見により、信頼性は90%以上に高まったと言えるでしょう。きっとたくさんの生物学者の同意が得られると思いますよ。」とMiller氏は語っている。

<関連ニュース>