ロシア版スペースシャトル「ブラン」復活の可能性!?

【2001年7月9日 SPACE.com (2001.06.28)】 7/10 update

ロシアの宇宙関係者が、ロシア版スペースシャトル「ブラン (吹雪)」の計画再開を検討していることを明らかにした。バイコヌール宇宙基地の打ち上げオペレーションの責任者であるLeonid Gurushkin氏が最近『New Scientist』誌に語ったところによると、「この計画には未来がある」という。

ブランは2機製造され、ソビエト連邦時代の1988年には地球を2周する無人の試験飛行に成功したが、その後再び飛行することは無く、ソビエトの崩壊後の1992年、財政難のため計画中止となった。

ブランはオービターにメインエンジンを搭載せず、外部のブースター・ロケットのみで打ち上げる方式を採用している。このため、ペイロード打ち上げ能力が約100トンと高く、これはアメリカのスペースシャトルのペイロード打ち上げ能力が約20トン弱であるのに対し、はるかに大きい。さらにGurushkin氏によると「長さを延長することにより、ペイロード打ち上げ能力を約200トンにまで増強することも可能だ」という。

ブランを製造したエネルギア社では、この高い打ち上げ能力は、国際宇宙ステーション (ISS) 計画が進む今こそ必要とされるものだと考えている。「私たちは、このときが訪れるのを夢見ていたのです」とGurushkin氏は締めくくった。

アストロアーツ・ニュースデスクよりコメント:

ブランオービターはエネルギアロケットに背負われる形で発射されるが、補助ロケットを4本接続した標準的なブラン−エネルギアロケットシステムの場合、低軌道への打ち上げ能力はブランオービターを含めて約100トンといわれる。SPACE.com記事文中の100トンという数値はこのことを指すものであろう。ブランオービター自身の空虚重量は約60トンであるため、エネルギア‐ブランシステムで打ち上げることの出来るブランのペイロードは約30トンであり、アメリカのスペースシャトルとほぼ同じである。

また、ブランオービターを搭載しない場合、補助ロケットを8本にまで増設して打ち上げ能力を増強することができる。その場合のエネルギアロケットの打ち上げ能力は、150-200トンといわれる。