[新天体速報] C/2001 A2 リニア彗星の核が分裂

【2001年5月3日 IAUC 7616 (2001.05.01)】

現在夕方の空で増光中の、C/2001 A2 リニア彗星の核が分裂していることがわかった。

アリゾナ大学の月惑星研究所の C. W. Hergenrother と M. Chamberlain ならびに Y. Chamberlain は、カタリナ1.54m反射望遠鏡によって 4月30.12日(UT) に撮影されたの赤バンド60秒露出の画像から、C/2001 A2 リニア彗星の核が2つに分裂しているようすを捉えた。2つの核はほとんど同じ明るさであり、東西方向に3.5秒角離れていた。また、両者とも強い中央集光があった。なお、同望遠鏡による4月24.14日(UT)の観測では、核は分裂していなかった。

通常彗星の核が分裂すると、彗星内部に含まれていた揮発成分の蒸発により、彗星の光度が増加することが多い。今回の核の分裂により、C/2001 A2 リニア彗星の急増光があるかが注目される。

現在、日没時のC/2001 A2 リニア彗星の高度は西空に低く(5月3日東京日没時で十数度ほど。日没60分後で4度ほど)、日本からの観測は困難なのが残念なところだが、6月下旬からは、明け方の東の空で見えるようになる。その時に何等で見えるのだろうか? 核の分裂によりさらなる急増光が起こり、そのまま久々の肉眼彗星となる可能性もあるし、近日点通過前後で彗星核自身が消滅してしまう可能性もある。ますます、同彗星の動向から目が離せなくなってきた。

最近のC/2001 A2 リニア彗星の観測は以下の通り。

世界時(UT) 眼視等級 観測者 観測地 観測機材
4月20.93日 7.2等 J. G. de S. Aguiar Campinas, Brazil 11×80双眼鏡
4月21.46日 7.4等 M. Mattiazzo Wallaroo, S. Australia 7×50双眼鏡
4月23.16日 6.7等 C. S. Morris Fillmore, CA 20×80双眼鏡
4月25.35日 6.4等 S. T. Rae Whakatane, New Zealand 8×21双眼鏡
4月29.95日 6.3等 W. Souza Sao Paulo, Brazil 11×80双眼鏡
4月30.49日 6.3等   Pearce  

<参照>

<関連ニュース>