小惑星シルビアに衛星

【2001年3月1日 国立天文台天文ニュース (421)

小惑星(87)シルビアに衛星が発見されました。

カリフォルニア工科大学のブラウン(Brown, M.E.)たちは、ハワイ、マウナケア山の口径10メートル、ケックII望遠鏡に波面補償光学系を使って、2月16日に小惑星シルビアの観測をおこない、シルビアに衛星があることを光学的に発見しました。シルビアと衛星の見かけの角距離は0.59秒、実距離は1200キロメートルです。衛星の明るさがシルビアの420分の1であることから推定して、衛星の直径はシルビアの20分の1程度と思われます。1時間後の観測で、僅かに相対運動をしていることが確かめられ、衛星と確認されたということです。

確認観測はその後も続けられ、22日までの結果から、衛星の公転周期は4日前後と推定されています。

なお、今回の発見で、これまでに衛星が確認された小惑星は、(243)イーダ、(45)エウゲニア、(762)プルコバ、2000DP_107に続いてシルビアが5個目になりました。(90)アンティオペも二つの天体であることが確認されていますが、これはその大きさにあまり差がなく、衛星があるというより連星といった方がより適当でしょう(天文ニュース382参照)。

イーダの衛星ダクティルはガリレオ探査機が接近観測をして発見しました。しかし、エウゲニアの衛星プティ・プランスやプルコバの衛星は、シルビアの衛星と同様に地上からの光学観測で発見されています。また、2000DP_107の衛星の発見はレーダー観測によっています。小惑星の衛星捜索にも、さまざまな手段が利用できることがわかります。

なお、シルビアは、1866年5月16日にインド、マドラス(現在のチェンナイ)のポグソン(Pogson, N.R.)が発見した小惑星です。その名はフランスの天文学者フラマリオンの最初の夫人シルビイ(Sylvie Petiaux-Hugo Flammarion)にちなんだものともいわれますが、実のところそれは疑問とされています。実は、ウィリアム・ハーシェルの息子のジョン(John Herschel)が古典的な名を好み、名前のリストを作っていた。そのリストが発見者のポクソンに渡ってそこから名をとった、というのが真相のようです。

<参照>

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