ISSの次期司令官、ティトー氏の訪問に歓迎の意

【2001年2月16日 FLORIDA TODAY (2001.02.15)

2月14日、アメリカ・フロリダ州NASAケネディー宇宙センターにおいて、3月に国際宇宙ステーション (ISS) を訪れる予定のディスカバリー号 (STS-102/国際宇宙ステーション組み立てフライト5A.1) の打ち上げリハーサルが行なわれ、クルー全員での記者会見も開かれた。

このSTS-102では、ISSの第1次滞在クルーと第2次滞在クルーの交代が行われることになっている。そして、記者会見において第2次滞在クルーの司令官となるロシア人のYuri Usachev宇宙飛行士は、「私には司令官として、ISSを訪れる全ての人を歓迎する義務がある」と語った。

第2次滞在クルーの任務期間中には、アメリカの実業家デニス・ティトー氏のISS訪問旅行が実現する可能性がある。ティトー氏は、2名のロシア人宇宙飛行士と共にロシアのソユーズ宇宙船に乗ってISSを訪れ、10日程度滞在することについて、ロシアと正式に契約している。旅費も既に支払済みで、金額は2000万ドル (約23億円) 前後といわれている。

Usachev宇宙飛行士の発言は、このティトー氏に対しても歓迎の意を示したものだといえる。

このソユーズのフライトは、ISSに新しいソユーズを送り届けるための短期滞在フライトであり、復路には第1次滞在クルーが往路に用いた古いソユーズ宇宙船を用いる。ソユーズ宇宙船はISSからの緊急脱出用に常時接続されている必要があり、また6か月ごとに新しいものと交換する必要がある。

NASAなど、ISS計画に参加する他の機間は、ロシアのこの計画に難色を示している。特にヨーロッパ宇宙期間 (ESA) は、未完成で安全性の確立されていないISSに民間人を送り込むことは無責任であるとして強く反発している。このため、実現するかどうかはまだわからないが、もし実現すれば、世界初の宇宙観光旅行の実現となる。

ISS第2次滞在クルーの女性メンバーであるSusan Helms宇宙飛行士は、NASAは民間人のISS訪問についての指針を示す必要があるとした上で、「(ソユーズに) 誰が乗っていようと、歓迎します。」と、Usachev宇宙飛行士と同じことを繰り返した。

ティトー氏のISS訪問については、ISS第1次滞在クルーの司令官であり現在ISSに滞在中のBill Shepherd宇宙飛行士も歓迎の意を示している

だが、ディスカバリー号の船長Jim Wetherbee宇宙飛行士は、「現在でも宇宙飛行は、最もよく訓練された宇宙飛行士以外にとっては危険過ぎます。(宇宙旅行という) このビジネスは、本当に適性のある顧客を必要とする分野です。これは、(レースカーを運転したことのない) 顧客を『インディー500』(アメリカのカーレース) で走らせるようなものなのですから。」と難色を示した。

NASAは今のところ、ティトー氏の計画について明確な態度を示していない。NASAとロシアは近々この件について正式な交渉を持つことになっており、NASAが明確な方針を示すのはその後となるだろう。