スターダスト探査機、太陽フレアの影響で一時セーフモードに陥る

【2000年11月27日 STARDUST NEWS FLASH (2000.11.21)

NASAの宇宙探査機「スターダスト (STARDUST)」が、11月9日〜11月10日にかけ、巨大な太陽フレアにより放出された激しい荷電粒子の嵐の直撃を受け、一時的にセーフモード (非常時の待機状態) に陥った。この荷電粒子の嵐は、通常の太陽風のおよそ10万倍もの規模だった。現在は復旧され、通常モードに戻っている。

スターダストは、惑星間や彗星近辺の物質のサンプルリターン (サンプルを回収し地球に送り届ける) を目的とした初めての探査機。スターダストは2001年初旬の地球スイングバイ (地球の重力を利用した加速) のため地球に接近しつつあり、荷電粒子の嵐の直撃を受けた際には、太陽から1.4天文単位 (天文単位は、太陽〜地球間の平均距離で、約1億5000万キロメートル) という、比較的近い距離にあった。

スターダストは、カメラの画像により星の位置を監視して現在の位置や姿勢を確認している。荷電粒子の嵐がスターダストを襲った際、カメラの受光器にぶつかった多数の荷電粒子 (陽子) がカメラの画像に恒星状の点を多数作り出したため、スターダストはカメラの画像から星の位置を割り出すことができなくなり、セーフモードに陥った。

セーフモードに陥る前に地球に届けられた最後の画像 画像1: セーフモードに陥る前に地球に届けられた最後の画像。明るい点のほとんどは、カメラの受光器にぶつかった陽子が作り出したものであり、星ではない。
通常モードに復旧後に撮影された画像 画像2: 通常モードに復旧後に撮影された画像。荷電粒子の嵐の影響は完全に無くなっており、陽子の衝突が作り出した点はひとつも無く、土星 (Saturn) やプレアデス星団 (Pleiades) (すばる) などがはっきり写っているのがわかる。