大型サイズの地球接近小惑星を発見

【2000年11月6日 国立天文台ニュース(391) (2000.11.2)

日本スペースガード協会は、地球に接近する天体としてはサイズの大きい小惑星を発見しました。しかし、いまのところ衝突のおそれはまったくありません。


発見直後に捉えた小惑星 2000 UV13
明るさは16.7等で、わずかに左側(東の方向)へ移動。
2000 UV13
撮影者/門田健一 撮影地/埼玉県上尾市
撮影機材/18cmF5.5反射望遠鏡+冷却CCDカメラ

日本スペースガード協会が岡山県美星町に設置している美星スペースガードセンターは、地球接近天体の観測中に、CCDを装着した口径50センチメートルの反射望遠鏡による観測で、10月22日5時過ぎ(日本時)、「おおぐま座シータ星」の近くに移動しつつある16.7等の天体を発見しました。この報告にもとづいて各地で確認観測をおこなった結果、求められた軌道から、この天体は地球軌道の内側まで入り込むアポロ型の小惑星であることがわかりました。そして2000 UV13の認識符号が与えられました。この小惑星の軌道要素はつぎのとおりで、4.16年周期で太陽の周りを公転する天体です。

  元   期 : 2000 Oct. 23.0 TT
  元期平均黄経: 334゜.16718
  近日点引数 : 195゜.59902
  長 半 径 : 2.5883223 AU
  昇交点黄経 : 348゜.50824 (2000.0)
  離 心 率 : 0.6408173
  軌道傾斜角 : 32゜.01235

2000 UV13は絶対等級が13.5等と見積もられ、この明るさから、直径は5ないし12キロメートルと推定されます。これは1000個余り発見されているアポロ型小惑星の中では2番目の大きさです。これだけの大きさのものが未発見であることはこれまで想像されていませんでした。この発見は、日本スペースガード協会のお手柄といえましょう。なお、アポロ型小惑星で最大のものは、1972年に発見された小惑星(1866)シジファス(Sisyphus)で、絶対等級が13.0等です。

2000 UV13は2001年1月24日に地球から9700万キロメートルにまで接近します。その後も接近を繰り返しますが、空間で軌道が地球と交わっているわけではありませんから、近々衝突する心配はまったくなく、最も近いところでも750万キロメートルくらい離れています。しかし、遠い将来の接近については、より精密に軌道を決めて研究する必要があります。なお、小惑星の絶対等級とは、太陽からも地球からも1天文単位の距離に小惑星があるとし、かつ満月のように欠けるところがないと仮定したときの明るさをいいます。

参照 日本スペースガード協会プレスリリース(Oct.31,2000).
   MPEC 2000-U34(Oct.29,2000).

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