ディスカバリー号乗員、全ての船外活動を完了

【2000年10月19日】

<リソース> ※日付は日本時間

アメリカ時間11日夜(日本時間12日朝)に打ち上げられたスペースシャトル「ディスカバリー号」(STS-92/3A)の任務が続いている。今回の任務は、国際宇宙ステーション(ISS)の組み立て作業で、おもな作業は「Z1トラス」「PMA-3」のISSへの取り付けである。

飛行7日目、リロイ・チャオ飛行士とウイリアム・マッカーサー飛行士により3回目のEVA(船外活動)が行なわれ、2セットの直流変圧器(DDCU)のZ1トラスへの取り付け、各種配線作業などを行なった。なお、このDDCUは、次回のスペースシャトルによりZ1トラスに取り付けられる大型太陽電池パドルにより発電された電気を適切な電圧に変換するものだ。

このEVAはアメリカ中部夏時間10月17日午前9時30分(日本時間10月17日午後11時30分)に開始され、6時間48分にわたった。若田飛行士、マイケル・ロペズ-アレグリア飛行士が交代でロボットアームを操作し、EVAクルーを支援した。

ひと仕事終えた若田さんからは、「ほんとにこの青く輝く地球を見ながらこの操作ができること、本当にすばらしく思います。本当に楽しんで作業ができました。」というビデオメッセージが届いた。

また、ディスカバリー号のスラスター(小型推進器)を用いてISSのリブースト(軌道を持ち上げる作業)の第2回目が行なわれた。これにより、ISSの軌道は約2.7キロメートル上昇した。

飛行8日目、ピーター・ジェフ・ワイゾフ飛行士とマイケル・ロペズ・アレグリア飛行士により、今回のフライトで最後となる4回目のEVAが行なわれた。このEVAでは、救助用小型バックパックの実地検証試験が行なわれた。宇宙服の背後に背負うこのバックパックは、窒素ガスを噴射して宇宙空間を移動するもので、EVA中の飛行士が万一漂流した場合にもこれを用いれば安全に宇宙船に戻ることができる。また、Z1トラスに大型太陽電池パドルを取り付けるための準備作業なども行なわれた。

このEVAは米国中部夏時間10月18日午前10時0分(日本時間10月19日午前0時0分)に開始され、6時間56分にわたった。若田飛行士がロボットアームを操作し、EVAクルーを支援した。

ひと仕事終えた若田さんからはビデオメッセージが届き、その中で若田さんはロボットアームの操作パネルの紹介をした。

その後、ディスカバリー号のスラスター(小型推進器)を用いて今回のフライトで最後となる第3回ISSリブーストが行なわれた。これにより、ISSの軌道は約2.7キロメートル上昇した。今回のフライトによる3回のリブーストによりISSの軌道は約8キロメートル上昇した。

飛行9日目は、ISS内への物資の移動など船内作業を行なう。若田さんは、日本人として初めてISSの内部に入ることになる。また、クルー全員による広報イベントも予定されている。

飛行10日目のアメリカ時間20日午前中(日本時間21日深夜)にはISSとディスカバリー号のドッキングが解除され、ディスカバリー号は帰路につく。フロリダ州ケネディー宇宙センター(KSC)への着陸はアメリカ時間22日昼を予定。

なお、今回のミッションは、20世紀最後のスペースシャトルのフライトであり、シャトル史上100回目の打ち上げ、99回目の飛行である。

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