新方式のX線望遠鏡が試作・試験された

【2000年9月14日 NASA MAXIM Press Release (2000.9.13)

コロラド大学とNASAの共同の天文学者チームが、ひじょうに高い解像力を持つ新方式のX線宇宙望遠鏡を考案した。すでに小型の試作望遠鏡が製作され、試験にも成功した。この新方式による大型X線宇宙望遠鏡が実現されれば、ブラックホールを取り巻くガスの詳細観測などに活躍が期待される。9月14日発行の『Nature』誌に研究報告が掲載される。

この新方式は、干渉分光法と呼ばれる技術を応用したもの。これは、複数の望遠鏡の観測データを融合してより高い解像度を得る技術だ。干渉分光法は、電波観測においては一般的な技術であり、光学観測においても技術が確立されつつある。2006年にはNASAによる初めての干渉光学宇宙望遠鏡「Space Interferometry Mission」の打ち上げも予定されている。

小型の試作版は、1999年に行なわれたマーシャル宇宙飛行センター内の真空室での試験では、100ミリ秒角(1秒角=1/3600度)の解像力を達成した。この解像力は、NASAのハッブル宇宙望遠鏡に匹敵する。また、現行で最高解像力を持つNASAのX線宇宙望遠鏡「チャンドラ」と比べると5倍も高い解像力だ。

NASAでは、この新方式によるX線宇宙望遠鏡「MAXIM(Microarcsecond X-ray Imaging Mission; マイクロ秒角X線撮像ミッション)」を計画中だ。「MAXIM」は、複数の観測衛星を編隊飛行させ、100ナノ秒角(1ナノ=十億分の1)という超高解像力の実現を目指す。それに先駆け、1基の観測衛星により100マイクロ秒角(1マイクロ=百万分の1)の解像度の達成を目指す「MAXIM Pathfinder」ミッションが行なわれることになる。

「MAXIM」「MAXIM Pathfinder」ミッションは、2010年以降になる。さらにそれ以降には、「広領域X線宇宙望遠鏡群(large area X-ray telescopes)」計画も控えている。

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