太陽の120億倍 初期宇宙に巨大質量ブラックホール
【2015年2月27日 Gemini Observatory】
中国・北京大学のXue-Bing Wuさんらが米・ハワイのジェミニ北望遠鏡を用いて行った赤外線観測などから、ビッグバンからおよそ9億年の時代の銀河に巨大質量ブラックホールが見つかった。この銀河中心ブラックホールは周囲の物質を取り込んでひじょうに明るく光るクエーサーとして観測され、その光の分析から太陽の120億倍もの質量を持つことがわかった。
宇宙誕生から数十億年後ならともかく、宇宙の初期段階にこれほどの重さのブラックホールがすでに存在していたのは意外なことだ。この発見によって、ブラックホールや銀河の形成進化理論の見直しを迫られるかもしれない。
ブラックホールのイラスト図(提供:Zhaoyu Li/Shanghai Astronomical Observatory)
〈参照〉
- Gemini Observatory: Supermassive Black Hole Lurks at Dawn of the Universe
- Nature: An ultraluminous quasar with a twelve-billion-solar-mass black hole at redshift 6.30 論文
〈関連リンク〉
- Gemini Observatory: http://www.gemini.edu/
- 星ナビ.com こだわり天文書評:
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